ヘタリア 普独





「やれやれ、やっと半分か」
「意外と考える内容が多くて疲れるな……」
「ん? ここからは際どい質問になります、だってよ。――う、わぁー」
「なんだその半笑いは」
「いやあ、想像以上にあけすけだからさぁ。まあいいや、サクサク続きやってこうぜ」

『51 貴方は受け? 攻め?』
「トップボドムの話なら、俺がトップ」
「ボトム」

『52 どうしてそう決まったの?』
「どうして、と言われると困るな」
「俺は最初からトップやる想定しかしてなかったし、ヴェストはそこまで踏み込んだこと考えてなかっただけだぜ」
「女性とすら一度もしてないことを、男相手に練習なしぶっつけ本番でしろというのは、想像ですらかなり勇気が要るぞ……」

『53 その状態に満足してる?』
「役割分担の話なら、概ね異論も不満もない」
「俺も。いや、ヴェストがどーーーしてもっていうならケツのひとつやふたつ貸す覚悟はあるけどさぁ」
「体力も回復力も昔より落ちてる兄さんに、今更あえて負荷をかけたりするものか」
「そうしてくれると助かるぜ」

『54 初エッチはどこで?』
「家以外のどこがあるっていうんだ!」
「職場とか屋外とかか?」
「上級者向けだろうそういうのは。……あ」
「どした?」
「今この状況の黒幕が分かった気がした」
「マジか、じゃあ最後に答え合わせしようぜ」

『55 その時の感想を・・・・』
「感想ッ!?」
「歓喜とか達成感とかもあったけど、意識の半分くらいはコレ夢じゃねえかなって思ってた気がするぜ」
「……羞恥と未知の感覚でいっぱいいっぱいだったことしか覚えてない」

『56 その時、相手はどんな様子でした?』
「妄想してたのより100倍エロくて理性ブッ飛ぶかと思ったぜ……必死で繋ぎ止めたけど!」
「一言で言えば、怖かった」
「えっウソっ」
「今のを聞いた感じだと多分暴走するのを堪えていたんだろうが、獣性が隠しきれてない顔をしていた」

『57 初夜の朝、最初の言葉は?』
「なんつってたっけ」
「兄さんが"モルゲン、身体痛くねえか"って言って、俺がモルゲンって返そうとしたら喉がカスカスだったから兄さんが慌てて水を取りにいったんだったはずだ」
「よく覚えてるな」
「それくらいはな」

『58 エッチは週に何回くらいする?』
「特殊な事情がない限り週2。ヴェストが休みの日の前日って決めてるぜ」

『59 理想は週に何回?』
「ハァ? それってヴェストに無理させてまでもっとしたいかって訊いてんのか? ナメんな!」
「兄さんのキレどころがよくわからないな……俺も別に今のペースで不満はない」

『60 どんなエッチなの?』
「別に、ふつーじゃねえの? たまーに拘束したり道具使ったりはするけど」
「特殊プレイは画面や紙面の向こう側で十分だ」

『61 自分が一番感じるのはどこ?』
「一番? それならちんこ」
「同じく、と言いたいところだが不本意ながら前立腺」
「不本意なのかよ」
「一般的で健康的な成人男性の枠から外れたことに若干の後ろめたさがあるんだ」

『62 相手が一番感じているのはどこ?』
「さっきの自己申告以外なら、兄さんは脚に触れると少し反応がいい気がする」
「ヴェストは耳と乳首も敏感だからいずれそこだけでイけるかチャレンジやってみてえ」
「やめてくれ……」

『63 エッチの時の相手を一言で言うと?』
「捕食者」
「ごちそう」

『64 エッチははっきり言って好き? 嫌い?』
「嫌いな男いるのかよ」
「同じく。――おい、意外って顔するな! 嫌がったことないだろう、そりゃあ、照れはするけども」

『65 普段どんなシチュエーションでエッチするの?』
「やるって決めてる日に俺がそれとなーく声かけて、二人ともシャワー浴び終わったらどっちかがどっちかの部屋行く感じ。まあ大体俺様がヴェストの部屋行くことのほうが多いな」
「時々酔った勢いでもりあがってなだれこむことがあるが、翌朝ちょっとした後悔が残るのはなんでだろうな……」

『66 やってみたいシチュエーションは?(場所、時間、コスチューム等)』
「やってみたいやつかー……あ、なんか、すっげーーーー長い時間かけてやるやつあるじゃん、半日とか一日とかかけるやつ」
「ポリネシアンセックス?」
「そうそう、それやりてえな」
「普段そこまで長い時間をとるのは難しいからな……俺も興味はある」

『67 シャワーはエッチの前? 後?』
「基本的には両方」

『68 エッチの時の二人の約束ってある?』
「する日を決めてること以外でか? うーむ……拘束するときはセーフワード決めておくとかか?」
「SMの基礎だろそれ。あー、"本気で嫌がることはしない"とか?」
「それは既に人付き合いの基礎だろう」

『69 相手以外とエッチしたことはある?』
「ない」
「男相手はヴェストだけ。――しょーがねえだろ、そりゃあ昔は色々あんだよ!」

『70 「心が得られないなら身体だけでも」という考えについて。賛成? 反対?』
「反対だ。というか、心が得られないのに身体だけ奪ってもむなしいだけだろう」
「賛成はしねえけど共感はする」
「え」
「他の誰かに盗られるくらいなら、俺の手の内で大切に閉じ込めて鍵をかけちまいてえっていう気持ちは結構あるぜ」
「ああ、身体だけ(物理)ということか。……いや、それもどうなんだ」

『71 相手が悪者に強姦されてしまいました! どうする?』
「できるだけ苦痛を長引かせて生まれてきたことを後悔させるまで拷問した後殺す。そんで原形なぞ残らねえくらいにミンチにして豚の餌だ」
「兄さん、顔が怖い」
「シチュエーション一瞬想像しただけで拷問の手順が秒で組みあがったぜ」
「怖い。俺は……どうだろう。兄さんがレイプされるということそのものが想像つかないし、その犯人に対しての感情もそうだな。勿論とてつもなく怒るとは思うが、処分は法に任せて俺は兄さんのケアを優先したい」
「優しいなあお前……」
「なんとなくだが国内で起こっていることを想像したからかもしれない」
「だとしても優しいなあ」

『72 エッチの前と後、より恥ずかしいのはどっち?』
「別にそんな恥ずかしくねえけど、調子のりすぎた自覚がある時は後」
「前。脱ぐという行為に恥ずかしさを感じるから、終わったあとは吹っ切っている」

『73 親友が「今夜だけ、寂しいから・・・」とエッチを求めてきました。どうする?』
「俺はどっちの立場で考えればいいんだ……いや、あいつが裸でベッドに寝てるのはまあよくあることだし、受け入れるふりだけして寝かしつければ翌日には元気になってるだろう、多分」
「その前提条件自体どうかと思うけどな、俺様としては!!」
「しょうがないだろう、イタリアに言え。で、兄さんは?」
「ちょっと考えただけでフライパン飛んできそうでこええんだけど、まあ、ガラでもねえハニートラップを疑うから門前払いだな」

『74 自分はエッチが巧いと思う?』
「全く。というかそもそも俺が能動的にできることが少なすぎて、されるがままになってることの方が圧倒的に多い」
「でも口ですんのは随分上達してるぜ」
「ならいいんだが」
「俺も別に巧くはねえと思うけど、っていうかセックスの巧い拙いの基準よくわかんねえけど、ヴェストをヨくすることくらいは出来てるぜ」

『75 相手はエッチが巧い?』
「今のままで不満は特に無えけど、積極性とかに伸びしろはあるとおもうからその成長性に期待だなー」
「……努力する。俺は他を知らないから巧拙を判断できないが、これ以上翻弄されるはめになると流石の俺でも身体がもたない気がするから今のままで充分だ」
「そう言われると逆にもっと色々勉強したくなってくるな?」
「まあ、別に止めはしない。向上心があるのは良いことだ」

『76 エッチ中に相手に言ってほしい言葉は?』
「痛いとか気持ちいいとか素直に言ってほしいぜ。ヴェストってばどっちも我慢しようとするから、表情の読み違えしてねえかたまに怖くなんだよなー」
「ぜ、善処しよう……。俺は、そうだな、愛してる、と言ってほしい」
「言ってるだろ!?」
「前戯のときはな。最中に口数少なくなるのに気づいてないのか?」

『77 エッチ中に相手が見せる顔で好きな顔はどんなの?』
「本気で嫌そうなとき以外全部。これはほんと選べないくらい全部。何か堪えてる顔も恥ずかしがってる顔もとろとろになってる顔も分かりづらく笑ってるのもすっげーすき!」
「だ、ダンケ……? 好きな顔か……、ぐっと眉根を寄せた険しい顔が、好きだ。いっぱいいっぱいになってるのは俺だけじゃないと安心するから」

『78 恋人以外ともエッチしてもいいと思う?』
「兄さん顔が怖い」
「許せる訳ねえだろ! ヴェストに手出しする奴は男だろうと女だろうと容赦しねえ」
「しないからその顔をやめろ。というか、俺の方から誰かに手出しするという想定がないあたり信頼されてるんだな。 ――俺はまあ、そういうのを生業とした女性となら、気にしないことはないが許せるな。柔らかい身体を抱いたことがあるならそれが恋しくなることだってあるだろうし。――なんだ兄さん、拗ねてるのか?」

『79 SMとかに興味はある?』
「そりゃあまあ、な?」
「興味なら、勿論。惜しむらくはどちらも嗜好がS側だというところだが」

『80 突然相手が身体を求めてこなくなったらどうする?』
「いろいろと不安になるからひと月様子を見た後理由を訊く」
「ヴェストから"求めてくる"ことは基本的にねえから断られ続けたって想定でいいのか? だったら疲れてんのかなあと思いながら悶々としつつ、長期出張時用のハメ撮り見て抜いて寂しく過ごすぜ」
「本当に使うのかアレ……」

『81 強姦をどう思いますか?』
「「吐き気を催す邪悪」」
「まあ、21世紀の価値観では、だけどな」

『82 エッチでツライのは何?』
「充分ほぐれてるのに前戯を続けられること。羞恥で死にそうになる」
「ヤってる最中の寝落ち。意識ない奴抱く男は外道だと思ってるからしねえんだけど、好きな奴がエロいかっこして寝てるのオカズに一人抜いてるときに物悲しさったらないぜ」
「その節はすまなかった……」

『83 今までエッチした場所で一番スリリングだったのはどこ?』
「……職場のトイレ」

『84 受けの側からエッチに誘ったことはある?』
「Ja」

『85 その時の攻めの反応は?』
「驚いた顔をしながらも変に茶化すような言動はしなかったから助かった」
「だってそんなんしたらヴェストが照れて撤回したがるのわかってんだもん、そりゃあな」

『86 攻めが強姦したことはある?』
「するかボケ」

『87 その時の受けの反応は?』
「されたことはないが、もし襲われたとしても蹴とばして締め落とすことぐらいはできるぞ」

『88 「エッチの相手にするなら・・・」という理想像はある?』
「仮にあったとして、それを恋人の前で言うのって失礼にもほどがあんだろ」
「恋人にするなら、ではなくセックスの相手の理想を語るのは色々と不誠実だと思う」

『89 相手は理想にかなってる?』
「「そうじゃなきゃセックスなんてするか」」

『90 エッチに小道具を使う?』
「これちょっと前にいったな。たまーに。ディルドとかバイブとか?」
「あと、拘束用のベルトと鍵とか」
「俺的には尿道カテーテルとかエネマグラとか試してみたいけどな!」
「そういうのはまた………追々」

『91 貴方の「はじめて」は何歳の時?』
「何歳もなにも兄さんが初めてだ。再統一した少しあとだから、120歳くらい」
「王国になった前後だから500歳くらいか」

『92 それは今の相手?』
「Ja」
「Nein。そんときの相手はさすがにもう死んでるぜ」

『93 どこにキスされるのが一番好き?』
「一番だったら口だけど、やってるときなら口でしてもらうときに先端ちゅってされるのすき」
「どこと言われても困るが……首筋に噛みつきがてら跡をのこされると獣に成ったようで変に興奮する」
「え、まじで」
「あんまり後々まで残るようなのは仕事に支障がでるから勘弁してほしいが」

『94 どこにキスするのが一番好き?』
「唇」
「どこでも。体のどこもかしこも俺が口と舌で触れてない部分はないくらいキスしたいし実際してるぜ」

『95 エッチ中に相手が一番喜ぶことは何?』
「俺が積極的に動くことだが、羞恥が勝ってなかなかな……」
「一番かっていうとよくわかんねえけど、頭撫でるとすげえ柔らかくとろんって感じに笑うのがめちゃくちゃカワイイから、撫でられるの好きなんだろうなって思ってる」
「そんな顔してるのか俺は……」

『96 エッチの時、何を考えてる?』
「考えるという行為ができるほど思考が回らない」
「ヴェストのことしか考えてねえよ。痛くねえかなとか気持ちよさそうだなとかカワイイなとかそういうの」

『97 一晩に何回くらいやる?』
「ヴェストの体調次第だけど1,2回」

『98 エッチの時、服は自分で脱ぐ? 脱がせてもらう?』
「基本的には自分でだが、兄さんが脱がせたいって言うときは任せる」
「プレゼントのラッピングはがすみたいでワクワクすんだよ、あれ」
「ラッピングの中身は常に同じだけどな」
「何度見たってドキドキする中身ってことだぜ! ――あ、俺は自分で脱ぐ」

『99 貴方にとってエッチとは?』
「難しいな……愛を確かめ合うコミュニケーションのひとつ、だろうか」
「愛情表現の一環」

『100 相手に一言どうぞ 』
「世界で一番愛してるぜ、ヴェスト!」
「俺も、愛してるぞ兄さん」



「はー、やっと終わったな」
「100問は案外長かった」
「そういや後半のやつ、お前もっと照れるかと思ってたぜ」
「ああ、それは質問者が誌面と機械だからだろうな。対面で質問されてたら回答は全部兄さんに任せていた」
「ケセセ、基準そこかよ。あ、そんでこの事態の犯人の答え合わせしようぜ。せーので一緒に言お、せーの!」
「「日本」」
「だよな。決め手になったポイントは?」
「性行為のことを"エッチ"と表現していたところ。これはHENTAIの略で日本独特の表現じゃなかったか?」
「あー、逆にそこ俺はニュアンスで読んでたから気づかなかったぜ」
「兄さんは?」
「冒頭の無駄にご丁寧な免責事項と、スタッフが救助にくるのに数日かかるってあたりで遠方にいるんだろうなっていう推測と、コレ」
「録音機? ――あっ……Made in Japan……」
「全文完璧なドイツ語で書くくらいならここもきっちりMade in Germanyにしとけよな! 多分寝不足で頭回ってなかったんだろうけど!」
「趣味の原稿が行き詰まると奇行に走ると噂には聞いたことがあるが、こういうことだったのか……」
「あ、扉開いたな。扉って言うか、天窓と縄梯子」
「まさかの天井」
「じゃあ、まあさっさと出るか。あ、ヴェストこれどうする?」
「……バックアップは随時とられている気がしないでもないが、赤裸々に語った物証があるのはいい気分がしないな。適当に壊しておいてくれ」
「Jawohl!」


――端末にエラーが発生しました 録音を終了します






ついったー上で4分割して連載(?)してたものでした
案外文字数かさんでびびったけど楽しかった!