002:addict
封神・四聖





「俺のほうが絶対聞仲さまのことが好きだ!」
「私はその倍以上好きだ!」
「なら俺はその5倍!」
「いや10倍!!」
「100倍!!!」
……


「あの二人またやってンの?楊森」
「李興覇、帰ってたのか」
「思い出したときにいつもやってて、よく飽きないねぇ」
「そうだな」
王魔と高友乾は性格が似ているのか、仲は決して悪くないが、なんだかんだとぶつかることが多い。
特に彼等の上司、聞仲への想いに関しての張り合いはとどまる事を知らない。
あまりにヒートしすぎて互いに宝貝を持ち出しそうになったときは、島が崩れかねないので大抵一番大柄の楊森が止める…が。

「今日は止めねーの?」
「止めるのにも飽きたな」
大真面目に言って、三百年付き合ってきて何を今更、と笑いあう。
「じゃあ気分転換に参戦してみるとか?」
「それは…無いな」
「へぇ?」
促すように尋ねる。
「あの二人とは、想いの方向性が少し違う気がする」

彼を尊敬する気持ちはもちろんあるし、誰かに劣ると思ったことは無い。
だが、近付きたいと思うことが好意や憧れというなら、この気持ちはそれではない。
聞仲さまを俺たちが救出するようなことがあったら―お強い方だからそれはありえないが―彼らは抱き付いて再会の喜びを表現しすぐかしこまって恥じるだろうが、俺はその側で無事を喜び心から安堵して立っているだけだと思うから。
ましてや手に入れようなどとは、決して。

「向上心が足りないのだろうか」
「…それも個性ってやつじゃない?よく分かんないけどさ」
「ああそれだな、多分。 そしてお前もだろう、興覇」
「まあね」

互いにニッと笑う。考えることは大体同じだ。
そうでなければ、「四聖」と称されるまでに一緒に居ることなど、無い。






「addict:中毒者、大ファン」 この場合は後者の意味。
王魔と高友乾が聞仲らぶなのは漫画読んでてよく伝わってくるけど、同じのを楊森と李興覇で考えてみたら想像がつかなかったので。 「四聖」は他称、だよね…?通り名みたいな。