006:body バサラ・徳川主従 ※2の忠勝ストーリー直後 「なぁ忠勝、何故ワシはこんなにも攫われるんだろうな」 辺りに敵方の忍びの姿がないか見回し、流石に5度目がないということを確認してから家康が言った。 「人質時代が長かったとはいえ、ワシも元服した立派な武人のつもりだ。なのにこう頻繁に誘拐されては下の者に示しがつかないと思うのだ」 『それは…そうでしょうなぁ』 忠勝の大半が甲冑で見えない顔の、ほとんど唯一見える口がへの字に歪む。家康が何処の誰ともつかない者に攫われて手紙が来るまでの数日は城中の者がてんやわんやになって一切の機能が滞ってしまう。この数ヶ月それを目の前で見てきた忠勝は、原因の一端が己にあることを心苦しく思っていた。 「なに、お前が気に病む必要はないぞ忠勝。どれだけの軍がお前を欲しがろうともお前が徳川軍に在る戦国最強の武将であることに変わりはないし、それがワシの誇りだからなッ!」 『身に余る光栄でございます』 忠勝に向かって満面の笑みを浮かべていた家康は、再び神妙な顔に戻って顎に手を当てて唸った。 「しかしこれはどうにかせねばなるまい。何かいい案はあるか?」 『…此度の騒動の発端は皆忍びの所業。忍びの術や行動を知ればなにか自衛出来る事があるやもしれませぬ』 「成程、それは名案だ!ならば一刻も早く帰って城の忍びに訊いてみるぞ!」 『御意』 そう言って、忠勝は主を肩にひょいと抱えて三河に向けて飛翔した。 離陸して暫く後。忠勝がちろりと横を窺うと、高速で風を切る感覚が楽しいのか家康はご機嫌を絵に書いたような様子で座っていた。加えて時折豆狸と呼ばれるような容姿だからか、ぴこぴこ動く獣耳と尻尾の幻影が見えるような気がした。 (こうやって誰でも簡単に一抱えにできそうなところが『攫われ癖』の一番の原因だと思うのだが) そう思うものの、口にはしない。彼がそれを知って急いで鍛錬を重ね、こうやって肩に乗せたり肩車したりしながら飛べなくなるほどの体格になってしまったら寂しいからである。それは無口で無欲な忠勝の、些細な我儘だ。 どうせこのような子供の姿である時期は短い。大人になりきるまではこうやっていようと思う。この小さな主が何度攫われようとも、何度だって信頼に応えて助けに行けばよいのだから。 「body:体」 家康のバサラ技(肩車)とかBH家康ストーリーOP(忠勝の腕と肩に足かけてる)は凄くかわいいけど、あの体格差なうちじゃないとできない所業だとも思う。 でもいつまでもああいう関係の主従でいてほしいな! |