041:loyal
封神・黒麒麟+聞仲





私が聞仲さまの騎獣になった経緯が聞きたいと…?別に構わないが。
あの方はなかなか自分から昔の話はなさらないからな…。

あのとき私は教主さまの霊獣で、騎獣としてではなく所持品として彼の元にいた。一部の霊獣や妖怪のように暴れださないか見張られながらただ無為に時を過ごしていた。
漸く私がその「一部」ではないと判り、伝書鳩代わりのことを任され始めた頃、教主室に呼ばれた。

そこにいたのは、教主さまと、精悍な顔つきで蒼い光を眼〈まなこ〉に宿した青年だった。
――ああ、それが昔の聞仲さまだ。
教主さまは彼に、私を指して、
「聞仲、お前にこの霊獣をやろう。名を黒麒麟という。騎乗には適さないが、人語を解すし賢い。無智な人間に対して牽制ぐらいにはなるだろう」
それを聞いた私は厄介払いだと思った。彼の元に居た私は殆ど何の役にも立たなかったから。
「年齢は?」
「判らぬがかなりの間金鰲の奥にいた」
それを聞き、聞仲さまは私に、
「飛べるか?」
と訊いた。
「空での疾さでは四海で五本の指に入ると自負しております」
聞仲さまは教主さまに向き直り、
「ありがとうございます。このご恩は忘れません」
と無表情に言った。

そして、聞仲さまは私を連れて部屋を出て、道すがらこう言った。
「黒麒麟、お前を私の騎獣にしよう」
「し、しかし私は騎乗には適さないと…」
「その足を腐らせるにはあまりに惜しい。それに――」
彼はくっと喉の奥で笑い、
「私は仙道の身で人間界に関わろうとする酔狂だからな。多少の無理は砂利にもほどにも感じぬ」

この言葉で私は、聞仲さまに忠誠を尽くす、私に生きる意味をくれた彼のために命を捧げると誓ったのだ。






「loyal:忠義」
四聖か張奎あたりに話してるとでも思ってください。
こう…天然タラシくさい聞仲をめざしたのに…(えー)