062:question





プロイセンが両手にひよこを包むように持ってドイツを呼んだ。
「なぁヴェスト、なんか俺の頭に鳥乗ってたんだけど!こいつ何なのか知ってるか?」
「む、気づいてなかったのか。昔からいるじゃないか」
「嘘ぉ?!」
「今じゃあんまり使わないが手紙を運ばせてたり、目覚ましアラーム代わりにしたり」
「うわー…さっぱり覚えてねえ。俺も歳かな」
「現役国家を退いたからといって、ボケるのは早いぞ兄さん。ああ、俺のもそこにいたのか」
ドイツはプロイセンの肩に留まっていたもう一羽のひよこを掬うように手に収めた。
「うわ、ここにも!勝手に留まるなよ、鳥!!」
「鈍すぎやしないか…」
「手紙運ばせてた、かぁ。伝書鳥…伝書鳥…俺が飼ってたのは黒鷲しか覚えてねぇぞ」
「ん、だからそれだろう」
「はぁ?!」
そしてプロイセンはひよこに視線を合わせて訊く。
「おまえ、『鳥バード1号』か?」
するとひよこはこくこくと肯いてるようにしか見えない仕草を返した。
「鳥バード1号…いつのまに退化なんて技習得したんだよ。俺知らなかったぜ」
プロイセンが名を呼んでひよこをつついたり撫でたりしていると、手の中のそれは急に質量を増した。
ばさり、とひとつ大きな羽音を立てたそれは、一瞬の間に雛から成鳥へ進化を遂げ黒々とした羽色の黄色い嘴をもつ鷲になっていた。
「おおお…俺の知ってる1号じゃないか!お前進化もできるようになったんだなぁ…。よし、ひよこに戻れ1号!遊びに行くぞ」
「家の掃除はどうするんだ!」
「帰ったらやるから心配すんなって。じゃあいってくるぜ!」

「こら、兄さん!…まったく」
ドイツはため息をついて、手の中のひよこに話しかけた。
「お前の兄貴もストッパーになってくれたらよかったのにな」
そしてひよこをゆっくりと撫でて言う。
「鳥バード2号、ひとつ仕事を頼まれてくれるか」
ピィとひよこは鳴いて、嘴が朱色である以外は1号と少しも変わらぬ黒鷲に変化した。
「この手紙をイタリアへ。きっと兄貴が何かストーカーまがいの迷惑をかけるだろうから警告の意味も込めて。兄貴より先に着くんだぞ。さぁいけ、2号」






「question:質問・疑問」
ご本家さまの四月馬鹿ネタ。結局あの鳥はなんだったんだ。
あ、伝書鳩の名前は完全なる捏造です。