ジョジョ P3 承太郎+男主人公
※クロスオーバー注意
※P3男主人公は便宜上中の人と同じ名前です





承太郎がこの場所――厳戸台に来た理由は「偶然」もしくは「気まぐれ」と言い換えてもいいような理由だった。あえて理由をつけるなら、あの旅以来一所に居つくのが性に合わなくなって海が近いここに来たというものだろう。
ある程度の街中でも海風が気持ちいい。モールにも人は多くて活気がある。どこか海洋生物が見られる場所があるなら良い場所だと承太郎は思い始めていた。――ただひとつ、魂を抜かれたようにうろつく人間が見当たること以外は。
(DIOと対峙したときのようなはっきりとした禍々しさは無えが、水面下で進行する毒のような不気味さのある街だ……スタンド遣いの仕業だったらSPW財団に報告しなきゃなんねえな)
このただひとつの、しかし大きな気配に承太郎はこの場所に来たことを些か後悔していた。別にスタンド使いを探しに出てきた訳ではないのだ。
眉根を潜めながら直ぐに帰るかどうか思案しながら歩いていると、誰かとぶつかった。このあたりでよく見る制服の、前髪を長くして顔を半分隠した風体の少年だ。大きな荷物を背負っていて、それが原因でよろけた拍子にぶつかったようだった。
(スキマから見えるあれは……メイド服に標識、いやバス停か。なんだこりゃ)
「すいません」とぼそぼそと言った彼と目が合う。影が薄いようにすら見えるのに、妙な雰囲気をまとっていた。それは数多く出会ってきたスタンド使い達と酷似しているようで、それともまた違うようでもあった。よく見れば銀の拳銃が入ったホルスターがちらりと見えるのも異様に映る点であった。
「あの、何か…?」
少年からかけられた言葉で我に返る。随分と無遠慮に観察してしまっていたらしい。
「いや、なんでもねえ」
言うなり早足で少年から離れた。
(新たなスタンド使い、か……報告書を書かなきゃいけなくなるな)
そこまで承太郎は舌打ちをした。元来回りくどいことは嫌いな性質だ、できれば見なかったことにしておきたい。
(スタンド使いだと決まったわけじゃあねえしな)
適当に無理矢理自身を納得させるような理屈をつけて、承太郎は一路駅へ向かった。



石田はポロニアンモールで後悔していた。
(鈍器は重いから鈍器なんだな…何で気づかなかったんだろう)
依頼報酬は先に提示されていたのだから何も今じゃなくてよかったのに、あからさまなネタ武器にテンションが上がってしまって、無表情でありつつももわくわくしながら装備品を受け取ってしまっていた。交番に寄った帰りだったこともあって、背負った大きな装備品の山がひどく重い。
重さに負けて大きなものにぶつかったのはそのときだった。反射的にすいませんと述べてから大きなもの――正確には人――を見ればじっと立ったまま石田を見下ろしている。標準よりやや華奢な石田にとって、その2mに届きそうな身長と広い肩幅は既に人と言うより壁に近いが、学帽と改造学ランから鑑みるにそこまで年は離れていないらしい。とてもそうには見えないが。
(威圧感だとか気迫だとかそんなチャチなもんじゃあ断じてねえ、もっと恐ろしいものの片鱗を味わったぜ……って僕は何を受信したんだ今)
天の声は無視するにしても、黙したまま注がれる緑の眼光は確かに怖かった。それと同時に自分と近い雰囲気も感じていた。常人が感知し得ない場所で戦いに身を置いているような、魂を削って戦う歴戦の勇士が纏う気配。
(ペルソナ使いは惹かれ合う、なんてことがもしかしたらあるのかもしれないな)
しかし目の前の男は召喚器を持っているようではないし、第一通っている学校が違う、というところまで考えてこの人が地元民ではないことを思い出した。
「あの、何か…?」
「いや、なんでもねえ」
それだけ言って巨躯の男は早足に歩き出していた。
(今のことをみんなに報告すべきだろうか…戦力は大いに越したことはないし)
だが確定したわけではない。ペルソナの適性があるなら、そして彼がまだこの場所に留まっているのならそのうち影時間に人の形で動いている姿が見つかるだろう。
そこまで考えてから石田は得意の選択肢「どうでもいい」を選択して寮へ向かう作業に戻った。



止まった時の中を駆けるふたりの運命の糸は絡むことなくまた離れ別の路を行く。






誰得クロスオーバー第3弾 双方「3」の主人公だけに。
ぺっそなとジョジョを知ってたらみんな絶対考えるはず!3はペルソナ(スタンド)の有り方、4はストーリーの主軸が似てると思う。
あ、時間軸とかそういうのは無視してください……