ヘタリア 普独
※悪魔ギルベルト×生贄ルートヴィッヒ
※R-18






長い潜水のような口づけを終え、二人はぷはっと息をつく。溺れるような、浸るような、満たし満たされるような、そういうキスだった。満たされたと思った端からもっと欲しいと身体が求める。その欲求に素直に従ってギルベルトはもう一度と唇を寄せるが、ルートヴィッヒは悪魔の横腹をがつんと殴ってそれを遮った。
「いってえ! なんだよ今いいとこだっただろ!」
「また流されるとこだったから言うんだ! 兄さん今また俺に何かしただろう」
じとりと睨みつける愛し子に、ギルベルトはへらりと笑って見せた。
「あ、ばれたか」
「ばれたか、じゃない!さっきの儀式だって俺に何の説明もなく始めるし……いい加減その秘密主義はやめてくれ」
「悪かったって。口頭で説明してたらどんだけ時間あっても足りねえし、一番成功しやすい満月の夜は逃したくなかったんだよ」
そう言ってギルベルトは窓の外を指す。そこには天高くまで昇った満月が煌々と照っていて魔法陣に淡い月明かりを落としていた。タイムリミットがあったと言われれば納得するしかないが、それでも不満は残る。
「それでも、兄さんが勝手に隠し事するせいであれだけ揉めたんじゃないか」
「揉める?」
とぼけた顔でギルベルトはルートヴィッヒの胸を揉む。そのにやけた面のこめかみを狙って、真っすぐにルートヴィッヒは思い切り薙ぐように殴った。
「分かってやってるだろう!」
殴られた部位を大仰に覆いながら、ギルベルトは絞り出すような声で詫びた。
「悪い悪い。ゴメンナサイ。ちょっとばかしお前を子ども扱いしすぎてたよな。これからはちゃんと大人だし、俺の後ろじゃなくて隣で生きてくんだもんな。認識は改める。……だからお前も認識を改めような? お前自分で思ってる以上に怪力だからな?」
「……? 兄さんのがよほど力が強いだろう?」
「その悪魔を今一撃でほぼ昏倒寸前まで追い込んだの気づいてやがらねえなコノヤロウ」
これまで真っ当な比較対象が他にいなかったことの弊害をじんわりと再確認しながら、その分スレずに清く正しく育ってくれたことに感謝しそのすべすべした頬にちゅっちゅっとキスを落とした。それをくすぐったがるようにルートヴィッヒはもぞもぞと動いた。
「に、にいさん……日記に書いてあったこと、なんだが……」
「んー?」
「兄さんは俺を、抱きたい、のか……?」
問われた言葉にギルベルトは目を瞠る。そういえばそんなことを書いたなと思った。むしろ手帳に書くことで発散してすらいた。日に日に色気を纏うルートヴィッヒを毎日近くで見ることは、美味しそうな餌を目の前に吊り下げられていることに似ていて、半ば苦痛に思うこともあった。だが今となっては隠し事する理由もないため、ギルベルトはひとつ頷いた。
「そ、そうか」
「正直に言って、俺はお前をめちゃくちゃ抱きたい。けど、お前が嫌なら……」
「そういう意味じゃなくて……その、今までだって何度でも、する機会は、あっただろう? その、さわりっこしてるとき、とか……」
ルートヴィッヒが精通を迎えてから二人は性的なニュアンスで触り合い抜き合うことは多々あった。しかし、一度たりとも挿入はしていない。そういう雰囲気になることもあったが、ギルベルトの方からはぐらかしていた。
「んー、それはな……お前、男同士のセックスの仕方って知ってるか?」
「い、一応」
「そっか。つまり俺様の立派なブツをお前の可愛いケツに入れてえってことなんだけどさ、ヒトの身体じゃマジでお前の尻裂けちまうだろ」
言いながらギルベルトはルートヴィッヒの尻の谷間をするりと撫でる。その感触と記憶の想起にルートヴィッヒはびくりと背筋を伸ばす。彼の言う通り、ギルベルトの性器は人間離れした大きさな上でこぼことした瘤のようなものがついた形状で(人間ではないのだから当たり前なのだが)、そんなものを挿入されたら大怪我するに違いなかった。
「まあ、今の身体なら大丈夫だろうけどな」
「……もしかしてそのために俺の身体をこうしたのか!?」
「ちょ、違えって!! いやそこも期待しなかった訳じゃねえけど! 一番はお前との未来を思ってだな……!」
露骨に狼狽える悪魔の姿にルートヴィッヒはしばしぽかんとした後、くすくすと笑った。
「な、なんだよ笑うなよ……」
「いや、すまない」
言いながらルートヴィッヒは笑いをおさめ、背伸びをしてギルベルトにちゅっと軽いキスをした。
「言っただろう。俺はあなたのためならなんだってしたいんだ。だから、兄さんが俺を抱きたいなら、それは俺の望みでもある。兄さん、俺はとっくにあなたのものだ」
瞬間、ルートヴィッヒを抱きしめる腕にぎゅうと力がこもり、抱えられて足がふわっと浮く。
小さく低い声で、その言葉後悔するなよ、と囁かれた。
後悔なんてするものか。返そうとした言葉は、瞬く間にベッドに運ばれ押し倒され、見下ろすぎらぎらとした赤い瞳に気圧されて言えないままになってしまった。



ぐちゃぐちゃという水音が耳を打つ。仰向けに寝転がって大きく足を開いた先のアナルを、ギルベルトが長い指を埋め込んで慣らし始めてどれだけの時間が経っただろう。奥のいいところなんかとっくに見つけられてそこをとんとんとノックされる度甘い声があがるのに、そしてそれを聞きたくなくて口を塞いでしまいたいのに、ギルベルトからそれを止められているためにルートヴィッヒはベッドのシーツをぎゅうと掴むしかない。
ふ、ふ、と息が荒くなる。ペニスは一度も触られていないのにすっかり立ち上がってたらたらと蜜をこぼしている。はやく達してしまいたいのに、ずっといいところは触ってくれなくて、ぐにぐにと入り口を広げては軟膏を塗りたくり、時折気持ちいいところを刺激される。
ずっとそんなことをされていてルートヴィッヒは少し泣きたい気分になっていた。だって、セックスというのは、もっとあたたかくて満たされて、幸せになれるものだと思っていた。なのに、愛するひとといったらアナルに指を突き入れているばかりで、時々「力抜け」なんて無理なことを言って、自分はといえば体の奥から沸き上がる熱をこもらせながらベッドの上でびくんびくんと身体をふるわせているばかりだ。これだったら、前みたいに触りっこをしていた時の方がずっとたくさんくっついていられた。
「に、にいさん……まだ……?」
乞うように呼ぶけども、ギルベルトは神妙な顔をして、まだだ、と切り捨てた。縋った手を振り払われたような気分で、ルートヴィッヒの眦から一粒涙が零れ落ちる。その一粒に誘われるように喉から嗚咽が漏れる。その声にギルベルトはさすがに驚いて、いとし子の頬をそっと撫でた。
「ど、どうした、ルッツ!? 悪い、痛かったか?」
「ちが……っ、は、はやく、にいさんが、ほし、い……はやく……ッ」
瞬間、赤紫の瞳が一瞬ぎらりと凶悪に光ってルートヴィッヒを射抜いた。
「ああ、クソッ、まだ足りてねえのに……やっぱいっぺんいかせとくか」
「えっ!? な、あっ」
ずっとアナルを慣らしていたギルベルトの大きな左手がルートヴィッヒの反りあがった屹立を掴み扱きあげる。体温で溶けた軟膏でべたべたになったその手のひらはぬるぬると滑りがよくて、焦らされ続けた身体を瞬く間にてっぺんまで追い立てた。
「や、ちがっ、そうじゃな……ッ! あ、やめ、いく、あ、あっ、う、んんっ、ひゃ、あ、ああああああっ」
びゅくびゅくと溢れだした精液をギルベルトの手の中にはきだしながら、ルートヴィッヒはがくがくと身体を震わせて達し、くたりと脱力した。
「ッハ、相変わらずエッロ……」
ぽてんと投げ出された豊満な肉体を舐めるように見ながらギルベルトは舌なめずりをする。そして散々いじりたおしたアナルに指をぐっと差し入れる。ソコはまだ狭いながらも達した衝撃で十分に力が抜け、ギルベルトの長大な男根もどうにか入りそうな具合になっていた。
「じゃ、ここに、お望みのモンぶちこんでやるからな。痛かったら言えよ? やめてやれるか分かんねえけど!」
ぼうっとしていたルートヴィッヒはギルベルトの言っている内容を暫し受け止めかね、理解した瞬間には身体をぐるんと反転させられギルベルトの先端がずぷりと埋め込まれた。
「あ、なん……えっ!?」
怒涛の展開にぼんやりとした頭はついていかない。腰を高く引っ張り上げられ、ずっと慣らされていた穴に欲しかったものが埋まっているのだけは理解できた。背中にべったりとギルベルトの身体が触れているのを感じる。
「なん、で、うしろ……は、あぅ、ああ……」
俯せにされた身体をギルベルトはその大柄な身体で閉じ込める。獣性の強い彼にとってはこの形が一番落ち着く。しかしルートヴィッヒにとってはそうではない。何か言いたげなその言葉を遮ってギルベルトは言う。
「多分こっちのがな、お前にとってラク、なんだよ」
言いながらギルベルトはルートヴィッヒの腰を支えながら男根をぐっぐっと埋め込む。人の身にはあまるほど大きいそれは、治癒力の増した今のルートヴィッヒの身体ならどうにか受け入れられる。
「う、あ、っは、き、きてる、ぅ……」
快感の逃がし方の分からないルートヴィッヒはそう言うことしかできない。欲しかったものがもらえた充足感と、それでもまだ寂しく感じる頭を、熱がじわじわと煮立たせていた。

ずっずっとペニスが穴にめりこでいくのがわかる。その衝撃の度に喉の奥からカハッと詰まったような息が漏れる。いたい、くるしい、あつい。ごわついた獣の毛並みが素肌の脚に触れるのが、なんだか怖い。でもそれだけ密着してるというのが嬉しい。混乱する頭がばらばらの感情を混ぜこぜにたたきつけて、何も考えられない。
感情と感覚の洪水に耐えるようにシーツにしがみついていると、ふと、突き進んでくる動きがぴたっと止まったのを感じた。
「に、にい、さん……? はいっ、た?」
「全部じゃねえけど。多分これ以上は今は無理だ。もう少しお前の身体が慣れたらな」
「ん……」
「お前も痛ぇだろ」
痛い? 痛いというよりは、苦しい、に近い。圧倒的な圧迫感がはらの中を押し上げて、上手く呼吸ができない。けど、それを言ってしまったらこの過保護な兄は途中でやめてしまわないだろうか。そんなことばかりを考えてルートヴィッヒは答えあぐねていた。顔は見えなくともその思考を雰囲気で察したギルベルトは掠れた声で短く笑った。
「悪ィ、辛いよな。でも俺は、気持ちイイ」
「そ、か……」
兄さんがおれのからだで、きもちよくなってる。たったそれだけでたまらなく嬉しくなって、ルートヴィッヒの身体からふっと力が抜けた。
「……お前今、すげえ可愛いこと考えただろ」
「え?」
「そろそろ動くぞ」
ずろ、と中ごとひっぱられるようペニスが引かれる。瘤のついたそれがごりゅっとルートヴィッヒのいいところをえぐったかと思うと、一気に押し込まれた。融けた軟膏で散々にならしたそこは十分ぬめり、想定したよりずっと容易く動く。
律動する度にぐちゅぐちゅと水音がする。押し込むたびに物覚えのいい身体は快感を拾いながらギルベルトの長大なそれをどんどん奥まで受け入れた。
「っは、ルッツお前、マジ最高……! すぐにでもイっちまいそうだ」
耳元で言われ、背筋に快感が走る。締めんな、と呻く声すら快感の後押しになるのだから始末に負えない。初めてのできごと、初めての感覚、太い腕でつくられた狭い檻、背中に触れる厚い胸、前立腺を的確にえぐる熱くて太い異形のペニス。支配され犯されている感覚の強い体位も相まって頭は煮え立ち、がつんがつんと突かれる度に口からは喘ぎ声ばかりが出て、涙と涎と先走りがシーツをべたべたに汚す。
「あ、あ゛ッ、ンああ、あ、あつい、にい、さ……っ」
ぞくんぞくんと痺れるような融けるような快感が体中を満たし、爪が白くなるほどにシーツを握りしめる。もう、限界が近い。
「にいさ、ん……ぅ、いく、も、いっちゃ、う、ぅあ、あ……ああンっ」
「俺も、もうイきそ、っふ、一緒に、イこうな、ッ!」
言うや否やずっと奥ばかりをこじ開け犯していた先端は、もっと手前の一番いいところをごりゅごりゅと攻め立てる。
「あ、や、やめ、そこばっか、ぁ、ああッ、あ、んあ、いぐッ、や、あ、あああっ……ッ!!」
がくがくと不随意に体が震え、手の先から爪先までぎゅうっと全身に力がこもる。後孔が締まって入っているモノの形状をまざまざと感じる。ふ、と吐き出す息が耳元で聞こえたと同時に、最後に勢いよくズドンと奥まで入り、長大な雄がどぷんとナカを盛大に濡らす。それが最後の一押しとなってルートヴィッヒは白濁をはじけさせ盛大に達した。
「あ゛あ、ああァァッ――!!」
頭が白くトぶ感覚が深く長い。まだナカでびくんびくんと震える屹立が、ずろ、ぬる、と今のセックスを名残惜しむようにゆっくりと抽挿され、その度にルートヴィッヒの唇から小さく喘ぎ声が漏れた。

だんだんとゆっくりになっていくそれがぴたっと止まった頃には、すっかり上がっていた息は少し落ち着いていた。まだ入ったままのそれは、最中よりは太さが減ってはいるけども圧迫感は確かにあって、兄さんが俺の中にいる、という感覚がじわじわとルートヴィッヒの頬を緩ませた。
そして不意にギルベルトがルートヴィッヒのペニスに触れる。イったばかりのそこはまだ敏感で、けどもさらに追い立てるようなつもりはなく確認しているだけのようだった。
「ちゃんと後ろだけでイけたな。やっぱお前才能あるぜ」
「そ、それは……褒めてる、のか……?」
「おう! 俺はお前とセックスしてえけど、お前がそれで気持ちよくなんなきゃつまんねえし意味ねえだろ」
言いながらギルベルトはうなじや肩にキスを落とす。愛情表現であるはずのそれがもどかしくて、ルートヴィッヒは小さく身をよじった。
「兄さん、うしろからは、少し嫌だ……」
「えっ?」
「あなたが見えなくて、不安……いや、寂しくなるんだ。声も体温も感じているのに、見えていないのが寂しくて。それに、キスは口に、してほしい……」
恥ずかしいことを言っているなという自覚はある。けどもこれだけは言っておかねばと思った。知らないことをするのに唯一縋るひとも見えなくてシーツにしがみつくだけだったのがちくちくと痛いしこりになっていた。それを伝えなければと思っていた。
しかしギルベルトからは沈黙が返るばかりで、不安感と羞恥心がつのる。
「に、にいさ……あ゛ッ!?」
男根を突き刺されたまま、躰をぐるんと反転させられる。こころなしかさっきより太さや硬さが増している気もした。
急に開けた視界の真ん中、だれよりも愛する悪魔がやっと見える。その瞳はぎらぎらと真っ赤に燃えていてルートヴィッヒはひゅっと息を呑む。
「もう一回、つきあえ」
低く唸るように言う声は、依頼でも提案でもなく命令だ。食われる、と直感的に本能的に思った。ちかりと白い牙の見える薄く開いた唇がぐっと近づく。その口の行く先は肩でも首でもなく唇で、深く強く交わされる口づけにルートヴィッヒは瞬く間に翻弄された。



しまった、とルートヴィッヒは思っていた。声が聞こえても、触れられていても、見えないのは不安だからああ言った。けども、向かい合ったらギルベルトの方からも自分の顔が見えることをすっかり失念していたのだ。じっと見つめる視線の強さに耐え切れず腕で顔を隠すが、すぐさま除けられた。
「可愛い顔隠すんじゃねえよ」
その言葉で熱をこもらせたままの顔がさらに熱く赤くなるのを感じる。涙や涎でぐちゃぐちゃのこの顔のどこが可愛いというのか。ただただ恥ずかしくて、ルートヴィッヒは小さく呻きながら顔を逸らすことしかできなかった。その仕草がさらにギルベルトの目を愉しませる。
「ああ、こっちのがイイな。お前の顔が見えるし声もよく聞こえる」
声まで指摘されて咄嗟に口を押さえようとしたが、腕は掴まれたままで動けず、揺さぶられるままに喘いだ。

ふと押さえつけていた片手がするっとずれ、ルートヴィッヒの脇腹を撫で胸を這った。鍛え上げられた豊かな胸はルートヴィッヒが快感を受けて仰け反るたびにぐっと突き出されて触られるのを待ちわびてるようにすら見える。前戯のときにすら触ってないその先端はぴくんとたっていた。
その縁をなぞるようにギルベルトがすうっと親指のはらでなぞれば、ぴくんと胸が震えルートヴィッヒはまたひとつ喘ぎを漏らした。
「やっぱココ好きか? 今までもよく触ってやったもんな」
親指で乳首をかすめながら、手のひら全体でその胸の豊かさを感じるように揉み触り支え上げるようにこね回す。その間にも体の奥はゆるゆると突かれ、与えられる刺激の容赦のなさにあたまがどうにかなりそうだった。
「に、にい、しゃ、ンンっ、そこばっか、やめ、ヘンに、なりゅ、からっ……!」
ルートヴィッヒの訴えに一瞬だけ目をくるりと丸くした後、ギルベルトはにやあと笑う。
「そうだよな、片っぽだけじゃヤだよな」
わざと訴えを曲解してギルベルトは、手を振れてない方の胸に唇を寄せ、乳首をぱくんと咥えた。そしてちろっとその先端を舌で舐めてからじゅるるるっと大きく啜った。
「な、にいしゃ、やめ、あ、あ、ああああああッ……!!」
未知の感覚にルートヴィッヒは打ち上げられた魚のようにびくんびくんと仰け反り体を震わせる。立ち上がりっぱなしの彼のペニスがまた硬さを増し蜜をたぷんとあふれさせていることに、ギルベルトは視界の端で捕らえ気づいた。
啜っていたそれをべっと差し出して示すように口を開き、ギルベルトは舌先で転がすようにそのまま喋る。
「乳首そんなに好き? 今すっげえ締まった」
「そ、そこで、しゃべらないでぇ……!う、あ、ンンンッ……!」
声の細かな振動や吐息すら快感として拾ってしまう身体は不随意にきゅうきゅうと締め付ける。そのたびに固く反り返ったギルベルトのものが一番いいところにあたるのを感じ、思考が熱したバターのようにとろけていった。
「ルッツ、きもちいいか?」
すっかり快感に痺れた口は美味く動かず、代わりに小さくうなずく。
「俺様もっと動きたいけどいいか」
「ん」
許可を得てギルベルトがラストスパートをかけようと体勢を立て直すと、ずっとくったりとのびていたルートヴィッヒの腕がギルベルトの背中にゆっくりとまわった。
「ルッツ、どうした?」
「にい、さん」
「ん?」
「にいさんは、きもちい、か……?」
「ああ、キモチイイぜ。背骨が熱で溶けちまいそうだ」
「そ、か……」
そう言ってルートヴィッヒの表情がとろんと緩む。空色の瞳が潤んで、海のようないろになったとギルベルトは直感的に思った。
「にいさんが、きもちいなら、おれは、しあわせ、だ」
融けた思考の中で言いながらルートヴィッヒは背中に回した指先に力を込める。もっと融けてひとつになりたいと言うように。
その言葉、その態度にギルベルトは何も言えなかった。すべての余裕が吹き飛んで、暴力的なまでの衝動をたたきつけずにはいられなかった。やさしくしてやりたいという気持ちが、すべてを受け止めてほしいという衝動に塗り替わっていく。
「ルッツ、ルッツ……!」
名を呼びながらがつがつと欲望を叩きつけ昇り詰めていく。それに引っ張り上げられるようにルートヴィッヒも駆け上がる。内側のいいところを容赦なく突き上げるそれになすすべもなく、吹き荒れる快感の嵐のなかで縋るようにギルベルトにぎゅうぎゅうとしがみつくことしかできない。
「にいさ、にいさ、ん……ッ! もっと、あぅ、らめ、しぬ、くる、あぁ、いく、いっちゃ、あ、あ、あ、ッ」
ごりゅ、と一番いいところをえぐられ完全に意識が真っ白く塗りつぶされる。
「いく、あ、らめ、ぁ、ッ、ああああああああッ……!!!」
ぴしゅぴしゅと先端から噴き出す感覚、一番内側がどぷどぷと濡らされ満たされる感覚、それらが同時に来てびくんびくんと身体が震える。
穏やかに見下ろすぶどう色の瞳や、抱きしめられ触れ合う胸、落とされた唇のあたたかさと柔らかさに全てが満たされた気持ちになって、その満足感にルートヴィッヒは意識を白い闇に飛ばしていった。






いただいた設定に悪魔ギルはtnkがでかいというのがあったので使いたかっただけの話でした