ヘタリア 伊(独)+仏
※伊独前提のつもりだけどドイツでてきません
※公共の場所という理由で人名で呼び合ってます
※ぼんやり他ジャンルカプが出てきますが把握しなくても多分読めます





「よお!待ったぜー」
「ごめんね」
カフェのテラスの席に腰掛ける髭の男に、茶髪の若者が駆け寄る。双方が未だ笑顔だということは、お互いがお互いに時間にルーズなことを承知しているという意味を持っていた。
「なあ聞いてくれよイタ…えーと、フェリシアーノ」
「何、フランシス兄ちゃん」
茶髪の若者は店員にカフェラテを頼みながら促す。
「さっきそこにすっげー美人がいたから俺声かけたんだよ」
「へぇ」
「ブロンドを結ってスーツをびしっとキメた睫毛の長い綺麗なにーちゃんをさ」
「あ、男かー……声かけるなら、せめて女性だけにしようよ」
「お前知ってるだろ?お兄さんはは美しいものなら男でも女でも人間じゃなくても愛でる主義なの!――でさー、そのにーちゃんが『相手はもう居る』つってこの俺を無碍にしたんだよ。で、そのにーちゃんと合流したのがこれまたお世辞にも美形とはいえない男なわけ」
「彼の友達?」
「いや、あれは恋人の目だったね。距離もすっげー近かった」
「ふぅん」
「もったいないとおもわねえ?せっかくきれいな顔してるのに世間の美女もひっかけないでこの俺の誘いにも乗っからないで、不釣合いな男とくっついてるんだぜ?もったいない!ああもったいない!お前のエリアでそういうの許していいわけー?」
口を尖らせて愚痴る髭の男に、茶髪の若者はふふっと笑う。
「Non e' bello cio' che e' bello,ma e' bello cio' che piace.この言葉知ってる?」
「『美しいものが美しいのではない、好きなものが美しいのだ』…そういうこと?」
「そういうこと。アモーレの国の見解はそれだよ」
「実におまえんとこらしい答えだな。でも男同士ってのはとがめないの?」
「それはー……兄ちゃんに言ってよ。本拠地は其処<ローマ>なんだからさ」
「そういう風に丸投げするのも、ほんっとお前らしいよな」
「褒め言葉ととっておくね」
「で、パーティー会場はどこだ?お前の『好きなものが美しい』恋人がクーヘンを焼いてくれてる場所はさ?」
「俺の別荘だよ。ていうかルーイは綺麗でしょー?」
「お前の目から見りゃあそうだろーさ。俺にはむきむきでごつごつで威圧感たっぷりの隣人にしか見えねーよ」
「もー!」
軽い言い合いをしながら二人の男はチップを置いて会計をしにレジへ行く。
その片方がイタリアという国そのもので、もう片方がフランスという国そのものだということなど、その場の誰も気づきはしない。






ことわざが使いたかっただけのSS。
基本的にヘタリアキャラは声優の声を当てはめながら書いてるんですが、イタリア語喋った瞬間イタが浪川声じゃなくなった…。