ジョジョ5部 ペシプロ





ペッシは困っていた。非常に困っていた。

場所はペッシの部屋、ソファの上。彼は兄貴と慕う男から濃厚なキスを受けていた。
お互いがお互いをそういった意味で愛していると知ってからこちら、元からスキンシップ過多気味だったプロシュートが挨拶のキスから恋人のキスを好むようになるのは道理だ。したいと思ったときには既に行動を終わらせているのが彼の信条だから、不定期かつ頻繁に迫られるのもまた当然のことだった。
愛している人から愛されるのが嫌な筈がない。しかしあまりに恋愛経験がなさすぎる故に、プロシュートの手馴れた口づけで体が簡単に熱を持ってしまうのが決して口外できない悩みであった。
(そろそろ、やばいかも…)
心臓が早鐘を打っている。早めに切り上げなければソレが硬さを持ち始めていることがバレてしまう。いつもなら適当なところで引き離してコートで隠すのだが、しかし今は両肩は押さえつけられるように掴まれていて、ソファに腰掛けた腿の上にプロシュートの膝が乗るような今の体勢は簡単に逃げ出せそうにもない。勿論本気を出せば腕力に任せることも出来るのだが、プロシュートを怪我させるような行動は本意ではなかった。

息継ぎのためか唇がほんのすこし離れ、その隙に終わらせようとペッシは閉じていた瞳を開く。当然のように眼前にはプロシュートの顔。
いつも力強い光を宿している空色の瞳は今はうっすらと涙に濡れ、伏目気味故に長い金の睫毛が被さっている。うっすらと空いた口からのぞく赤い舌とあいまって、それはひどく妖艶に映った。目を開かなければよかったと思うほどに。見たことのない色香に総毛立つほどに。
狼狽した瞬間走った衝撃はそのまま体に反映され、揺れで腿に乗っていたプロシュートの膝がペッシの中心に触れる。
(気づかれた…!!)
あまりの経験のなさに呆れられるだろうか。性的な目で見るなと軽蔑されるだろうか。嫌われるだろうか。そんなネガティブな予測が脳裏を占め、一気に血の気が引く。
「あ、あのっ……」
意味を成さない単語が言い訳じみて口から飛び出す。突き飛ばして逃げ出したい衝動を押さえ込めただけでもペッシとしては上出来だった。

冷え切った視線を受けると思っていた予測は外れ、プロシュートの瞳は熱を失わずきらめいている。
「なんだ、オマエもちゃんとオトコだったんじゃねえか」
口角を上げた笑みは、ほとんど獲物を捕らえた肉食獣のようなそれだ。それでも艶を失わない彼に『獲物』は驚愕のまま竦み、為すがままにされるしかなかった。







タイトル拝借元:創作者さんに50未満のお題
恋する動詞111題の31,35からの派生。ウチでは見失われがちなカッコイイ兄貴を目指したら…あれ?しかもここからほもゆり展開しか妄想できなくて…あれ?