ジョジョ3部 アヴポル
※携帯擬人化(兼執事)という馬鹿馬鹿しいパラレルです





部屋の時計が7時を示したとき、携帯電話兼執事であるアヴドゥルの、その日一番の仕事は始まる。
「ポルナレフ、朝だ。起きろ」
一応声をかけるだけかけてみるが起きる気配がないことなど予測していた。アヴドゥルの持ち主は寝汚いのだ。旅行先などではむしろ目覚めはいいほうなのに、と起こすたびに思う。その2パターンの比較が出来るのはいつも起床時に傍に居る『携帯電話』であることの特権とも言えた。
「ほら、起きろ」
揺すり続けても唸るだけでなかなか起きないポルナレフに、アヴドゥルは痺れをきらしてそろそろ蹴りを発動させようかと思い始めたころ(アヴドゥルは執事に似つかわしくなく短気で、スヌーズも1分起きに固定されている)、
「日曜だろ…寝かせろよ…」
彼の頭脳が少し動き始めた気配がしたので強硬手段はとりやめになった。
「同僚とシフト交代したって言ってなかったか」
「ん…?うああっ!そうだった!」
一気に目が覚めたらしく、ポルナレフはがばっと起きる。
「今何時!」
「7時2分だ」
「あ、そんなにギリギリでもない…。俺、目覚ましセットしたっけ?」
「いいや。でもスケジュールに登録はしただろう」
アヴドゥルは懐から手帳をかざしてみせた。
「そういえばそうだったな。過去の俺、よくやった!」
「そこを汲み取ってお前を起こした私には?」
「ああ、Merci!」



「だいたいお前はいちいち詰めが甘いんだ。寝る前に翌日のチェックくらい常識だろう」
「もう聞いた!いいじゃねえか今日は間に合うんだから」
「それは私が世話を焼いてるからだ、違うか?」
うっ、と言葉に詰まってポルナレフは溜息をつく。便利そうだから、という軽いノリで使い始めた『携帯執事』サービスだったが、まさか本当に携帯が執事になるなんて思いもしなかった。しかも執事と名乗っちゃいるが持ち主を主人と思っているかどうかすら怪しいエセ執事だ。
朝食をとる手をとめて、ポルナレフはアヴドゥルを見る。人の姿をとっているときは、長身なポルナレフよりも更に背が高く、姿勢がいいから黒の執事服もきりっと決まっているのが逆に少し憎たらしい。
飾り気のないシルバーのシンプルな携帯電話がなんでこんな褐色の肌をもつ大男になったんだか、というのはいつも疑問に思うところだ。いつのまにか、買った当初にはなかったはずの炎を模したようなラインがぐるりと巻きつくように入っていたから、もしかしたらそれが彼の本質なのかもしれなかった。そうだとしたら、容赦の無い叱咤も納得できるような、できないような。
「……どうした、反論があるなら言ってみろ」
ポルナレフが座ってアヴドゥルが立っていた都合上、睨んでいるように見えたらしい。ポルナレフはそんなつもりはなかったのだが。
「べっつにぃ〜、口煩いかーちゃんかよって思っただけだぜ」
「そうか。それならよかった」
「はぁ?」
「母親の小言というものはそこに愛情があるから出るものものだからな。私のそれがお前に伝わっているなら、これ以上嬉しいことは無い」
初めて見るアヴドゥルの笑顔に、心臓がどきりとはねる。
「そ、そうかよ。――そろそろ出かけるから、戻れ」
「了解」
携帯の形に戻ったアヴドゥルをポケットに入れながらポルナレフは考える。
口煩いエセ執事から愛情なんてものを注がれてるなんて、思ってもみなかった。ただ、アヴドゥルが家に来てからこちら、まどろみのなかで心地良い声をずっと聞いていたいと思うことがあった。それが愛情に甘えているということなら、少し照れくさいような恥ずかしいような不思議な気持ちで顔が火照った。






カッとなってやった。今は反省している。
しあわせなアヴポルがかきたいですってお願いしたらこんなのを発信しやがる801の神様はどうかしている(責任転嫁)