ジョジョ5部 プロペシ
※兄貴が先天的に女体化してる上にいろいろ捏造です
※でもあんまり口調・一人称などは変えてない(つもり)です





「ペッシがいつまでもマンモーニなのはあいつ自身のせいだよなァ?」
ニヤニヤしながらメローネはペッシに耳打ちする。
「いや、オレがいつまでも未熟だからだよ。兄貴のせいなんかじゃない」
「そーお?」
多少なりとも同意が得られると思っていたのか、メローネは意外そうな顔だ。
「あんなに見事に飴と鞭を使い分ける教育熱心なマンマなんてなかなかいないぜ。あのノリでオレのベイビィたちを仕込んでくれたらもう少し使い勝手がよさそうなんだがなぁ」
そんな呟きにペッシは苦笑で返す。
プロシュートという女性を本当に『マンマ』として見ているのだとしたら、この胸の中にある燻るような熱情はあるはずがないのだ。



イタリアの女性は気が強くよく感情を表に出すという。本当にその通りならば、プロシュートはイタリアの女性らしくありきたりなのだろう。女性でありながら弟分に「兄貴」と呼ばせ、あまりにも男らしい覚悟と考えで持って一人前のギャングをやっているのだとしても。
そんな彼女にペッシが惹かれたのは、ペッシと真正面から向き合ってくれた初めての人だったからだ。一緒に歩こうとプロシュートが手を伸べてくれなかったら、ペッシは社会の隅で生きる糧もなく縮こまってるモノにすぎなかったのだ。
その恩と好意が恋情に変わるのにさして時間はかからなかったが、それを伝えれば今の『他人』でありながら『家族』でもあるような関係が壊れてしまうようで、ペッシはそれを決して口外しなかった。
その均衡が崩れたのは、プロシュートの不意な一言からだった。

「ペッシよぉ、お前は理想の女像とかってあんのか」
あまりに突然だったその問いにペッシは飲んでいたコーヒーを噴出しそうになる。それを寸でのところで堪え、漸うペッシは言葉を紡ぎだす。
「え、えと、なんでいきなり……」
「いきなりでもねーだろ。今朝の騒ぎ、聞いてなかったか?」
言われて、なんかぎゃいぎゃいと言い合いがおこっていたのを思い出す。女は胸がでかいのがいいだとか、やっぱり顔が重要だとか、いやいや料理できる子がいいだとか、最終的には体の相性だろうとか、そんな話が飛び交っていた。女性の前でそういう話をあけすけに言うのってどうなんだろうとペッシは思っていたが、チームのメンバーは誰もプロシュートのことをただの「仲間」としか見ていないのも知っていたからあえて口を挟まなかったのだ。あの混沌とした喧騒の中でその沈黙に気づいていたのだとしたら、プロシュートは思わぬところで聡い。
「で、オメーはどうなんだよ」
「えっと、お、オレは……」
こういう局面で器用に話を逸らせるほどペッシは器用ではなく、嘘をつけるほど演技力も長けてはいない。
「……惚れた相手が理想のひとだと、思います」
言葉をたっぷりと選びながら言ったことに嘘は無い。そういう話題を振られたときに浮かぶ人物などひとりしかないようになって随分と経つのだ。
その人の瞳がくるりと丸くなって、暫しの間の後ふっと笑む。
「いい答えだ。男として理想的な答えだ。さすがペッシ、あいつらとは違うな」
その台詞にペッシは内心ほっと息をついた瞬間ガクンと景色が揺れた。プロシュートに襟首を捕まれ引き寄せられたのだ。
「だがなぁペッシ、オレが聞きたいのはそんな良い子ちゃんな答えじゃねえんだよ」
眼前いっぱいに空色の双眸。それは標的<ターゲット>を見つけたときのような光でもって剣呑に輝いている。
「質問の仕方が悪かったのは認める。遠回りに探るなんてオレの性分じゃねえな。――直球で聞くぜ。お前の視界に、射程距離にオレは入ってるのか?」
彼女の意図が一切読めないがただひとつ、こうなっては一切のごまかしがきかないのを悟る。彼女の瞳はどんな強力な薬よりも効く自白剤だった。
「オ、オレ…は…、ずっとまえ、から、兄貴、しか…見えて…ません……」
途切れ途切れに言い切ると、襟首の手がぱっと離れる。
「本当か?」
「は、はい。オレ、兄貴に嘘なんて」
数瞬の後、プロシュートの顔がボンと音を立てそうなほど一気に真っ赤に染まる。
「えっと、兄貴…?」
「う、うるせえ!見んじゃねえ!」
自分から訊いておいて、あまりに初心すぎる反応にペッシは戸惑う。いつだってクールでかっこいい、女性でありながら兄貴だった彼女のこんな表情を見るのは初めてだった。だからといってずっと前から炭火のように水面下で起こっていた恋心が今更止まるわけではない。
「あの、こういうこと誰かに言うのは初めてなんですけど――愛しています。オレなんてまだまだ未熟で兄貴の射程に入るなんては思ってないですけど、いつかきっと」
言いかけて、うるせえ!とプロシュートに遮られる。
「オレだってなあ!ずっと前から、お前のことしか見えてねえんだよ!」
言うだけ言ってから耳まで真っ赤にしてプロシュートは蹲る。彼女の台詞を本当に理解するまでに、ペッシはもうしばらくの時間を要していた。






「兄貴とペッシで女体化(女体化するのはどちらでも)」というリクエストでした。こちらは姉貴ver。もいっこのリク「告白」も混ぜてみました。
兄貴がびっくりするくらい通常運転で女体化した意味はあったのか…という出来で実にすいません。