ジョジョ3部 アヴポル
※ 生存パラレル・同棲設定です





インフルエンザとは厄介なもので、外出が憚られる1人じゃなかなか治すことも出来ないし、家族がいたらいたで感染る危険性が高い。
今日医者から見事にインフルエンザの診断を貰ってきたポルナレフは寝室で寝ている。寝ているはずだ、とアヴドゥルは思う。二人そろって厄介な病気にかかるつもりはないから今日から1週間以上は寝室を別にする旨を言い、それをぶすくれた表情ながらも了解して寝室にこもったポルナレフを見たのはほんの数時間前だ。
風邪を引いても引かなくても落ち着きがないポルナレフの容態を気にしながら、ウイルスからの完全防備のためにマスクと割烹着に近い作業着を身に着けてお粥を寝室に持っていけば。
「お前は、なんのつもりなんだ……」
呆れるアヴドゥルの目の前には、ほぼ生まれたままの姿のポルナレフがそこにいた。
「だって、暑ちいんだもん。汗で気持ち悪ィ」
毛布を蹴飛ばしタオルケットを辛うじて纏ったといえる状態で患者は言う。
その言い分に納得できるようなできないような気分でアヴドゥルはポルナレフの頭をはたいた。
「病人は病人らしく、大人しく布団に包まっておけ。汗をかくのが一番の解熱方法だ」
「マジかよ」
「ああ、マジだ」
「目の前にもっと汗かける方法があるのに?」
言葉と同時に首の後ろまで腕が周る。目の前に近づくブルーグレイの瞳が情欲にきらきらと潤んでいる。その光に揺らめきそうになりながら、腕の常ならぬ熱さに状況を思い出して、その胸をやや乱暴に押し戻した。
「なんだよ」
「近々大きな顧客と会うんだ。客に病気を感染すわけにはいかないだろう」
「……薄情者」
正当性は100%こちらにあると分かってはいても、この世で一番大切な人にそう罵られて傷つかない人間はいないだろう。しかし、傍目に見て明らかに見も心も弱ってる恋人を責める気になるほどアヴドゥルは鬼じゃなかった。
「完治したらいくらでも相手してやるから」
「マジで?」
「ああ、マジだ」
「じゃあすぐ治す!明日にでも治す!」
「1週間は経たないと駄目だって言われただろう」
そう言えば、ポルナレフはあーだかうーだかよくわからない呻き声を上げながら枕に突っ伏した。元気が取り得なところのある彼が寝込まなきゃいけないというのは、こちらが思っている以上に苦痛なのだろう。そう考えればなんとなく不憫にも思えて、早く退室しなければいけないはずだが少しだけ居座って枕に埋まった頭を髪を梳くように撫でた。
「……なんか今日優しいな?」
「そうか?」
「うん。今ちょっと、風邪引いて良かったって思った」
「馬鹿なこと言ってないでさっさと寝ろ」
言葉はぶっきらぼうななのに撫でる手はやめないものだから、意味わっかんねえ!とポルナレフはぶつぶつ言う。意味も何も愛情表現のつもりなんだが、とアヴドゥルは思うが口にしない。それが更に病人にじわじわダメージを与えていた。






インク節約のために『白い服を着たアヴさんと裸のポル』というお題でした。文章じゃ意味無い上にすごいやっつけ感。
マジチャリでも同じ仕草書いたんだけど、頭を撫でるという動作がなんか好きです。