おお振り・ミハベ・シリアス 「俺たち、ずっと、一緒だよね」 三橋が何度も確認するように言う。 また怪我の心配か、と少々呆れも混じりながら、阿部は訊かれる度に肯定の言葉を繰り返す。 「三年間怪我はしねえ。お前の球をずっととってやる」 そう言ってやれば変な顔で三橋は笑うから、これが正しい応えなのだと思っていた。 首筋がちりちりと焼けるような感覚。 異様な気配に振り向けば、三橋がじっと見つめていた。 「阿部くん、俺たち、ずっと、一緒だよね」 「ああ」 こいつのネガティブスイッチって本当にどこだかわかんねえ、と思いながらやはり肯定の言葉を繰り返す。 訊かれる度に。 「そうだ」 訊かれる度に。 「もちろんだ」 じりじりと燃えるように熱い。 またこちらを見つめている。 何度も繰り返される言葉に深い意味があるのかとも思ったが、捕手の観察眼をもってしても三橋の感情は易々と読み取れるものではなかった。 視線から感じるものは、信頼。 いや、信頼というより執着。 むしろ、執着というより狂気。 そこまで考えてから頭を振った。まさか、いくら過去のしがらみやトラウマがあったとしても、たかがチームメイトに病的なまでに拘ることなどないだろう。 再び目を合わせると、矢張り予測していた問いが来た。 「阿部くん、俺たち、ずっと、一緒だよね」 今までと同じように肯定の応えをしようと思って、直前で止まる。 まっすぐ向けられる目は、灼けるように緋かった。 原作で三橋が「阿部君がいれば」的なセリフを言うたびに、サンホラのStarDustが脳内で流れて止まらない。 |
魔法律・ヨイチ+ビコ・ギャグ リオズオフィスの前で。 「あっ、ヨイチ」 「ビコじゃないか!久しぶりー。MLSでも見なかったけど、ずっとリオズオフィスに籠もってたのか?」 「うん。新しい秘薬の作り方教わってたんだ。そのことなんだけど、ちょっとこれ飲んでくれないかな?」 ビコが差し出したのは、液体が並々と注がれたビーカー。 「うわー…とっても綺麗な蛍光グリーン…。ホントにこれ飲むの?」 「もちろん。飲むと一時的に身体能力が上がる秘薬って本に書いてあった。結構自信作だよ」 「む…その言葉、信じるぞ」 ヨイチは蛍光色に輝くビーカーを受け取って、一口飲んだ。 するとヨイチの体がポウッっと光り…次の瞬間顔が一気に青ざめた。 膝からくず折れながら、ヨイチが息も絶え絶えに訴える。 「ビコ…毒盛りやがったな…!あれか、1ヶ月くらい前にリオ師にセクハラした恨みか…」 「おかしーなー…何を間違えたんだろ?」 リオズオフィスの奥から声がした。 「ビコー!最後の仕上げの試薬入れ忘れてるわよ!」 薬瓶を持ちながらリオが駆けてきた。 「この薬は最終的に朱色にならなきゃいけないんだから」 「そうなんですか?」 「仕上げはとっても大事だからきちんと手取り足取り教えてあげるわねv」 「ありがとうございますお師匠様!」 そのまえに通りすがりの友人を実験台にしないように弟子にきちんと教えてあげてください、 と薄れゆく意識のなかでヨイチは思った。 そのまま介抱もされず倒れ伏したヨイチが再び目を覚ましたのは、丸一日経ってからだった。 ホコリかぶってたノーパソ久々に起動したら、07年8月に書いたブツが出てきたのでリサイクル。書いた覚えがびっくりするくらい希薄。 |
おお振り・タジハナ・ギャグ 「花井って眼鏡かけるとかっこよさ3割り増しになるよな!ねーねーかけてみてー」 「ん、別にいいけど…」 花井は語尾を濁しながらも、手元にあった眼鏡をかけた。 「『けど』?」 「これをかけるとかけた人間は総攻めになってしまうんだ」 「ソウセメ…?」 「攻め、若しくはタチ。要するにピーをピーする方」 田島が気に入っていた『眼鏡をかけた花井』は、デスクワークをするときと同じ真面目な表情で、『いつもの花井』が恥ずかしがって言わないことを言う。 「え゛」 それは田島に異変を察知させるのに充分であった。 「しかも鬼畜属性という付加効果までついてくる。だから…」 『眼鏡をかけた花井』は一呼吸の間に距離を詰め、耳元で囁く。 「お前をめちゃめちゃにしてしまうかもしれないが、それでもこっちの俺が好きか?」 「うわあああああああ!」 「うわあああああああ!」 叫びながらがばっと顔を上げると目の前には本を読んでいる花井がいた。 「どうした?あ、また居眠りしてたのか。ほんともうすぐテストなのに余裕だな」 「あれ…はない…?」 目の前の花井の苦笑を見つめ、今のが夢であったことに気づいた。 「何だ?分からないとこでもあったのか?」 「いや、えーと…」 眼鏡ごしに見える伺うようなまなざしに、夢で見た怖いくらい鋭い目つきがかぶり、どきりとする。 それを振り払いたくて、白いフレームの眼鏡をすばやく奪った。 「俺、眼鏡はずした方の花井が好きだな!」 「ん?何の話だ?」 頬を夕焼け以外でほんのり染めた田島の動悸は、当然花井に伝わってはいなかった。 過去拍手お礼。 まさかのおお振りde鬼畜眼鏡。あほですいません。 |
弱ペダ・田(+)巻・(東→巻←坂) ※ IH後・渡英なし設定 引退してからもさほど変わらない量を食べる田所に少し引きながら、巻島はその横に腰を下ろす。長い脚を折りたたみながら溜め息をつく巻島を見、田所は食べる手を止めた。 「どうした、溜め息なんかついて」 「……聞いてくれるか、田所っち」 「まあな」 コミュ障気味な巻島に話を促す癖ができているというのもあり、自己流を貫くある意味マイペースな彼がそこまで憔悴してる理由が知りたいという好奇心もあった。 垂れた眦が田所の方を向く。ほおばったものを飲み下すために紙パックのドリンクを啜った。 「オレのファンクラブができた」 ブッ、と勢いよく吹き出したドリンクは中庭のタイルに散った。 「なんだよ、きったねえっショ」 「いやいや、吹くだろ!!お前にファンクラブぅ?!」 「ちなみに会員は現在二人、東堂と小野田だ」 「ああ……納得したぜ」 巻島と東堂は前々からライバルと認め合っている仲で、頻繁に連絡を取り合っているというのは聞いていた。 小野田は巻島のあの異様で自己流なダンシングを見て嘘偽りなくカッコいいと褒め、同じクライマーとしてとても慕っている。 「割と前からお前親衛隊だった二人じゃねえか」 「否定できねえけど……でも、あいつらオレの恋人の座狙ってるらしいっショ」 「はぁ?!」 「ファンクラブの会員同士でありながら、恋のライバルらしい」 巻島は再び重くため息をついた。それこそ小野田が見たら「ゲ○ドウの真似ですか!かっこいいです!」と言いだしそうな格好だった。 「IH終わっていきなり男にモテるとか完全に想定の範囲外っショ……」 「難儀してんなぁ、お前。そういう趣味あんのか?」 「ねえヨ!オレはノンケだって!!」 「だよなぁ」 衝撃的な吐露に、田所の手は完全に止まっていた。 それを垂れた眦で見ながら、巻島はまた衝撃的な発言をした。 「でさぁ、田所っちを恋人ってことにしていいか」 「なんでだよ!」 「いやぁさ……、オレが女にモテないってのはとっくにバレてっし、同じ土俵でフるならそういうことにしたほうが、田所っちが適任っショ」 「金城は」 「女子まで敵に回せるほど無謀じゃねえヨ」 「そこでオレを指名するってどういう意味だコラ」 「大した意味はねえっショ。ダメか……?」 状況が異常ではあるが困っている親友を拒否できるほど、田所は薄情ではなかった。 「言うのはその二人だけにしとけ」 「!! さすが田所っち!頼れる男!好き!」 喜びのあまり巻島は田所にがばっと抱き着いた。 「おい!そういう話のあとに好きとか言うんじゃねえ!それこそ変なウワサが……って早速見られてっし!――誤解だからな、赤マメツブ!!」 その大声で状況を更に拡散していることに、田所は気付いていなかった。 アニメで弱ペダはまった記念に。 キモイコワイって言われてるのに好かれまくってる巻ちゃんが好きです。 |
5こめ |