過去拍手・会話小ネタ・短文
太+楊・ギャグ
申+黒点虎・シリアス
雲+雷・シリアス?
飛虎聞?・ギャグ
雲+雷・シリアス


太+楊・ギャグ


蓬莱島の教主室にて。
「久しぶりじゃのう、楊ゼン」
「お久しぶりです、太公望スース…いや、今は伏羲ですね」
「『太公望』でいい」
「そうだスース、ちょっと協力してくれませんか」
「別に構わぬが、何だ?」
「ずっと気になってたんですよ。伏羲という人物が太公望スースと王天君の合体した者なのに、王天君の名残が目のクマしかないことに…。しかも今やそれすら消えてるし」
「正確には合体ではなく、分裂したのが元に戻ったんだがのう」
「だから確かめさせて下さい」
楊ゼンはガシッと太公望の腕を掴んで、机にあった小刀で切った。
「ぎゃー!何をする!」
「どうせ自分で傷塞げるんでしょ。はじまりの人なんだから」
「まあ、そうだが…」
太公望の腕から流れた血が机の上の紙に落ち、じゅっと音を立てた。
「わー!!本当に血が酸だー!読みどおり!さっすが僕」
「ああ、そんな能力もあったのう…」
「酸の血…師匠を殺した血!汚らわしい!だらだら流してないで、さっさと傷塞ぐかここから出てってください」
「何がしたかったのだ、おぬしは…」




何が書きたかったんだ、俺は…

up/08.02.29





申+黒点虎・シリアス


「退屈で退屈で死にそうだ、という顔をしてますね」
突然そう言われて僕は目を見開いた。
僕の心をそのまま読まれたようだったし、何よりそれを言った奴がすごくインパクトのある格好をしていたから。
「君、誰?」
「私は申公豹という者です、野良の霊獣君」
「その言い方むかつくなー。僕は黒点虎だよ」
申公豹と名乗った道士は、僕と同じ形の目で僕の目を見つめて言った。
「では黒点虎。君は、人間界をじっと見たことがありますか?」
「そんなことする訳無いじゃない。人間みたいなすぐ死んじゃう生き物」
すると申公豹は得体のしれない笑みを浮かべた。
「人の生き様や歴史は最高のエンターテイメントですよ」
「え?」
「才能や力に溺れて命を落とす者、正義感から政権を求める者、何もしていないのに人望を集める者、努力がことごとく報われない者、他にもいろいろいます。長い時間の中で生きる我々から見れば、誰もが皆どこか急いでいて、退屈する暇などありませんよ」
「…本当に?」
「だったら私と一緒に見てみませんか?瞬く間に千変万化するこの世界を」
「……。」

道化師の語る『エンターテイメント』はなんだか面白そうで、くすんでいた世界が少しだけ輝いて見えた。



傍観者達の出会い捏造

08.02.29





雲+雷・シリアス?


「なあ雲中子」
「なんだい」
「お前オレぐらいの歳の時ってどんなだったんだ?」
「なんでまたいきなり」
「いや、気になっただけ」
「そうだねぇ…私も昔捨て子でね」
「!」
「まあ君とは違い、物心ついた頃に口減らしで山に置き去りにさらて、死ぬほどひもじい思いをしたが奇跡的に生き延びられて、ぎりぎりだったところをスカウトされて助かったから、以来仙人骨をもった孤児やそれに近い子を引き取って弟子にしてる……だったら良いと思わないかい?」
「って嘘かよ!!真面目に聞いちまったじゃねーか!」
「即興にしては我ながら良い出来」
「はぁ…。で、ほんとのトコどーなんだよ」
「私はどうでもいいことは忘れる質なんだよ」
「もういい」




初代拍手お礼の一つ
はぐらかしすらも嘘かもしれない。

07.07.31





飛虎聞?・ギャグ


「なあ聞仲」
「なんだ」
「その額の目って生まれつきか?」
「そんな訳ないだろう。骨が腐るほど修業して仙人骨が出来たときにできたらしい」
「『らしい』ってなんだよ」
「仙人界で修業してたら今みたいに訊かれた」
「訊かれるまで気付かなかったのか…」
「視力はよくなった気がしてたが、他の異変と同じことだと思っていたからな」
「他のって?」
「冷え性が治った」
「はぁ?」
「ちょっとやそっとじゃ死なない体になったせいなのだろうな。暑さにも強くなったし病気にもかかりにくくなったし、多少食べなくても生きるには不自由しないから仕事には並の人間より余程集中できる。しかも老いないからきちんと鍛錬を積んでいれば宝貝を使うようになっても筋力は決して衰えることはないというのだから、仙道とはここまで便利なのかと感心したものだ」
「…元気そうだな」
「ああ、とても」

「三つ目という異形になった衝撃よりも体質改善がもっとうれしかったのか」と飛虎は思わないではなかったが、当時の発見の喜びを思い出してどことなく上機嫌な聞仲に、そう突っ込むことはできなかった。




聞仲は変なところに合理的で、特に自身のことにはあまりにさばさばしすぎたその思考回路に飛虎は少し呆れてるといい。

05.11.10





雲+雷・シリアス


「お、珍しいモンが咲いてるじゃねぇか」
雲中子のラボから少し離れたところに桜があるのを、雷震子が見つけた。
「おや、もう咲いた。さすが私の薬だねぇ」
「ん?雲中子が植えたのか」
「他に誰がやるんだい。こういうのは誰かが世話しなきゃ生えないものだよ」
「ま、そりゃそーだ」

「そういえば、気付いていたかい?仙人界に桜が無いことに」
「言われてみれば、親父の城にはいっぱい植わってたけど、どういう訳か崑崙には全然なかったな。なんでだ?」
「桜の花は狂気の花――魅入られると死へ向かうからだよ」
雲中子の口からあまりにさらりと出た言葉に、雷震子は目を見開き、黙った。
「古来から、死ぬときは桜の下でと願った者、美しいが心が騒いだ者はたくさん居た。それでも魅入られずにはいられないのは桜の儚さが『人間』を想わせるからだ」
確かにそうかもしれない、と桃色に降る雪を見上げる。
「同じように仙人も桜を見、人間を想う。見る度に儚さを思い出し、何百何千と見たときに、己の変わらなさ――己の選んだ永い時に堪えられなくなるんだろう」
「…そういうモンか?」
「歳をとれば解るさ」
誰かを育てる立場になれば。
この世から逃げ出したくなるのに、置いて行けない人がいる苦しみが。
そう口に出さないまま、胸の中で言う。今伝えなくても彼がそのうち自分で知るだろう。

「じゃあなんでわざわざ植えたんだよ」
「たまにはこういうのもいいじゃないか」
「まあな」

きっとお前なら、魅せられても惑わされない心の強さを持っている。




引用元が時代錯誤なのは気にしないで…

06.01.05