お題:ゲーム 御手杵が呟く。 「俺は刺すしか能がないからなあ……、あ、見つけたこっち来い」 「了解」 「たたっきりゃあいいんだろ?」 「まぁかせちょけ!」 各々やや声をひそめながら、そっと御手杵の元に行けば、敵は確かにそこにいた。 物陰に隠れながら敵に気付かれないように、隊長である御手杵が視線で合図を送り、一斉に敵めがけて飛び込んでいく。文字通りの一番槍は真っ先に敵を発見した御手杵だった。 「へへっ、隙だらけだぜ!」 「よぉ狙って…バン!」 「キエエエエエエア!!」 「針の穴を通すがごとく!」 各々声を出しながら敵に斬りかかる。強大過ぎるほどの敵は4人をもってしても中々倒れず、彼らを振り回す。 一番先に力尽きたのは獅子王だった。 「噛みつき損ねたな……」 「獅子王!」 「馬鹿、なにやってんだ!」 仲間からの叱咤を聞きながら倒れ―― 数秒後にはキャンプ場にいた。 巨大な竜が暴れる戦場から、獅子王(のプレイヤーキャラ)を運び出す猫たちはどれだけ隠蔽が高いのだろうと見るたびに思う。いや、そんなに頻繁に見るようではいけないのだが。 視線を画面から上げれば、ガードできるランス使いの御手杵と、ライトボウガン使いの陸奥守が余裕そうな顔をしている中、太刀使いの同田貫が油汗をかきながら画面に食い入るように見入りながらゲーム機を無骨な指で動かしている。 そして、 「あ、くっそが!!」 同田貫が呻き、ほどなくして獅子王のいるキャンプ場に彼(のプレイヤーキャラ)が運び込まれてきた。 「ちょっと待てよ!前衛俺だけ!?」 「ああああこっちにターゲット移ってきちょる!はよ戻ってきとおせ!」 「悪い悪い、すぐ行く!ってあれ、捕獲信号出てるぞ。そろそろ巣に戻りそうだ」 「じゃあ俺が先に罠はっておくわ。6番でいいよな」 「まかせた」 「うえー…6番遠いんだよなあ」 そんな、モンハンが流行っている本丸の一幕であった。 兼業ハンターだからかMHやってる男子高校生組の印象強くてよく書いてる気がする。 |
お題不明 刀剣男士において飲兵衛と言えば次郎太刀と日本号だが、彼ら以外にも酒好きな男士はもちろんいる。そもそも神というものは酒が好きだと相場が決まっていて、付喪神である彼らもその例外ではないからである。 ぼうっと月を見ながら陸奥守が一人で酒を飲んでいると、のそっと大きな影が傍に寄り、すとんと隣に座った。 酒で少々ぼやけた頭でそちらを見れば、高い位置でひとつにくくった黒髪が目に入る。 「太郎太刀、なしてこがなとこに」 「……?ああ、厠にたったら我が本丸の初期刀殿が寂しそうな顔をしておられたので」 「わしゃあ、そんな顔しちゅうがか」 「ええ。とても」 「……」 言われて眉間を寄せつつ、陸奥守は再び空を見上げる。月は段々を叢雲に覆われ陰っていく。 どちらかと言えば口数の多い陸奥守がしゃべらなければ二人の間に言葉は交わされない。数分の沈黙ののちそれを破ったのは、無口な太郎太刀の方だった。 「月みれば千々に物こそ悲しけれ、なんていいますけど、わざわざ寂しく思う必要などないのではないですか」 「寂しく……なぁ」 「これだけ人の多い本丸で、ひとりきりなんて思う必要などないでしょう。静かに飲みたいときがあるのなら、私がお付き合いいたします」 「おまさんがか!?」 「意外ですか」 「ああ」 「『あの』次郎太刀の兄が、酒が嫌いだとでもお思いですか?」 「言われてみれば、そうじゃな」 「この本丸の初期刀だからといって、誰にも頼らないでいようと思うのはそれこと『寂しい』でしょう。私でよければ寄りかかってください。この図体ならあなたひとりくらい支えることなど簡単ですから」 穏やかな言葉に、するすると心がほどけて陸奥守は瞳をとじる。 静かでありながら寂しくない酒を飲むのは、もしかしたら人の身を得て初めてかもしれなかった。 メモってなかったためお題失念。初期刀だったかな…… 縁側で静かに酒を飲む男士という構図が好きです。 |
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