ヘタリア 普独
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――目標二名の覚醒を確認しました 録音を開始します

「ん……なんだ、ここは……? あ、あー……」
「ふぁあー、モルゲン、ヴェスト」
「モルゲン、と言っている場合じゃないようだぞ兄さん」
「うぇ、なんだこの部屋。びっくりするぐらい何もねえ。あ、あー……ウン、そういう、あれな」
「そういうアレだ。俺たちもよくよくこういう面倒事に巻き込まれるものだな」
「まあ昔の上司大集合だの裏地球からコンニチワだのに比べりゃマシなもんだろ」
「確かに」
「とりあえず脱出条件調べるか。うっわなんかCoCみてえ」
「神話生物の登場はご遠慮願いたいな」

「調べるまでもなかったな。ここに書いてあった。『カップルに100の質問』に答えないと出られない部屋だってさ」
「マニュアルが用意してあるのは助かるな。で、なんだって」
「読み上げるぞ」
『1.あなたたちには「カップルに100の質問」に答えていただきます。すべてに答え終わるまでこの部屋から出られません』
「つまり俺たちが恋仲だということを知ってここに連れてこられたわけだな」
『2.質問は全てこのテキスト内に記されています。回答は口頭で行ってください。テキストの隣にある黒い機械が回答用の収音機器です』
『3.ひとつの質問に答え終わったら収音機器につながっている赤いボタンを押してください。無回答のままボタンを押せば最初から回答しなおしとなります、ご注意ください』
「必須事項ひとつ書き忘れただけでやりなおしになる不親切なWebアンケートかよ……」
『4.適切な回答をされたかどうかはAIが判断します。AIが判断しにくい回答の仕方は避けてください』
『5.回答を終える前に機器類を壊さないでください、部屋が開かなくなります。スタッフが救出に参りますが数日かかる可能性があります』
「数日か……仕事のことも考えると素直に指示に従ったほうが良さそうだな」
『6.プライバシーに深く踏み込む質問がありますが、情報をお預かりするにあたり個人情報を大切に保護し無関係の者に明かさないことをここに保証します』
「その言い方逆に怖えわ。何訊かれるんだよ。――あっ! うーん……ま、いっか」
「何がだ?」
「一応この部屋の責任者?みたいなののアテがみつかったっつーか、信用できる奴だろうなってのがわかったからさ。まあ、あとで言う」
「そうか。では質問とやらに答えていこう」



『1 あなたの名前を教えてください』
「プロイセン。またの名をギルベルト・バイルシュミット」
「ドイツ。ドイツ連邦共和国。通名はルートヴィッヒ。名字はバイルシュミットだったりシュルツだったりミュラーだったり」
「バイルシュミットで確定させちまえばいいのに」
「他の兄たちとの兼ね合いがあるからしょうがないだろう」

『2 年齢は?』
「えーっと、騎士団から数えると800歳くらい?」
「帝国成立から数えるなら150歳弱だが、その20年くらい前から姿と自我はあったと思う」

『3 性別は?』
「見れば分かるだろう……」
「ヴェスト、こいつ音声機器」
「そうだった。いや、こんな声の女性がいてたまるか」
「まあな。つーわけで両方男」

『4 貴方の性格は?』
「頑固とか生真面目とかはよく言われるな」
「世界一かっこいい!」
「それ性格か?」

『5 相手の性格は?』
「エラーが出なかったってことはあれでいいのか……AIの判定が分からない」
「実は割と賭けだったんだけどな。4問目ならやりなおしラクだし。意外と柔軟かもしれねえな。あとでちょっと技術教えてもらお! あ、今のでいいんだったらヴェストの性格は「世界一カワイイ」だぜ!」
「兄さんのかっこいいやかわいいの判断基準は何年経っても分からないな。ああ、兄さんの性格は……一言で言えば過保護」
「お前にだけだぜ」

『6 二人の出会いはいつ?どこで?』
「年齢の質問に絡む話だな。170年くらい前、兄さんの住む屋敷の天蓋付きベッドの上で目を覚まして、すぐに兄さんが俺のいる部屋に来たのが俺の一番古い記憶だ」
「そっか、お前の視点からだとそうなるんだな」
「そうだが……?」

『7 相手の第一印象は?』
「不思議な親しみのようなものを抱いた覚えがある。今思えばあれは血縁に当たる国であるという直感だったんだろうな」
「第一印象、第一印象かぁ……健康そうだな、かな」
「なんだそれは」
「俺様にもいろいろ考えることがあったんだよ、あんときは」

『8 相手のどんなところが好き?』
「え、全部じゃだめか? うーん、あー、頑張りやなとこ、だな!」
「……なんだかんだで甘やかし上手なところ」
「おお……意外」
「ニヤニヤ顔をやめろ!」

『9 相手のどんなところが嫌い?』
「照れが極まるとツッコミと称してプロレス技かけてくるとこだな……、締め技はまだいいんだけどさ、投げがやべえ。痛え。一瞬意識飛ぶもんアレ」
「それはすまない、ほとんど咄嗟の行動だが出来るだけ締めにシフトするよう努力しよう。――ああ、兄さんの嫌いなところか。ふむ……嫌いというか、リビングに物をやたら増やすのは控えてほしい」
「あったかくなってきて大掃除の時期だし、またそろそろ片付けるかなー」
「増やさない努力をしろと言っているんだが」

『10 貴方と相手の相性はいいと思う?』
「そりゃあもちろん」
「同じく」

『11 相手のことを何で呼んでる?』
「ヴェスト」
「兄さん」

『12 相手に何て呼ばれたい?』
「別に今のままで不満はない」
「おにいちゃんって呼んでもいいんだぜ!」
「断る」

『13 相手を動物に例えたら何?』
「「犬」」
「……ッフフ」
「ケセセ!」

『14 相手にプレゼントをあげるとしたら何をあげる?』
「丁度ボロくなってた日用品とかがマストじゃね? 手袋とか財布とか万年筆とか」
「うむ、すぐ使えるものが一番だな。服や装飾品は好みやセンスが違いすぎる」

『15 プレゼントをもらうとしたら何がほしい?』
「だいたい欲しいものって自分で買っちまうもんなあ」
「同じ家に住んでるから共用品は家計からになるしな」
「えー……あ、アレ、あの『なんでも言うこと聞いてくれる券』!」
「すごく嫌な予感しかしないんだがその響き。そのノリで言うなら、『フルコース作ってくれる券』だな」
「ウッワ地味に大変なやつ」

『16 相手に対して不満はある?それはどんなこと?』
「嫌いなことと被ってないか? リビングにものを増やすこと」
「不満っつーか、限界までがんばりすぎてフラフラになってるとこ。見てて心配なんだよ! もっと誰か頼れ! ここにめちゃくちゃかっこよくて有能なお兄ちゃんがいるだろうが!」

『17 貴方の癖って何?』
「癖って自分じゃなかなか気づけないもんじゃね? あー、電車使うときにいつも切符左で持っちゃって改札でつんのめる」
「癖っていうか利き手の問題だろうそれは。――俺のは、そうだな、慣れない愛想笑いしようとすると眉間にしわが寄る、らしい」
「前イタリアちゃんにびびられてたやつな」

『18 相手の癖って何?』
「ヴェストはあれ、考え事するときに唇もにもに触るのが癖だよな。あれかわいい。キスしたくなる」
「兄さんはコップとかマイク持つときに時々小指立ってるのが癖か」
「え、うそマジで!? ヤダそれ恥ずかしっ!」
「あれはあれで俺は可愛いと思ってるんだが」

『19 相手のすること(癖など)でされて嫌なことは?』
「似たような質問多くないか? ……そうだ、犬たちが不機嫌になるほど構い倒すのはやめてほしい」
「俺としては逆に、俺が構ってほしいのにヴェストが犬たちばっかり優先するのが嫌だ」
「なんだこのゆるい三角関係……」

『20 貴方のすること(癖など)で相手が怒ることは何?』
「懐こいタイプの他人から密なスキンシップ求められて応えると兄さんはすぐ怒る」
「ガード緩すぎて心配になるし単純にムカつくんだよ! お前も俺がイタリアちゃんたちとハグすると拗ねんじゃん」
「兄さんから構いに行くのが嫌なんだ、あれは」
「あ、そういう判断基準だったの?」

『21 二人はどこまでの関係?』
「どこまでって、セックスしてるかってこと? してるぜ」

『22 二人の初デートはどこ?』
「翌週のマルクト」
「お前の中でマルクトでの買い出しってデート扱いだったんだ……翌月の動物園だと思ってたぜ」

『23 その時の二人の雰囲気は?』
「良くも悪くも普通? 兄弟でお出かけって感じから抜け出せなかったなー」

『24 その時どこまで進んだ?』
「手をつないだくらいか」
「ちょっと俺たち奥手すぎんな!」

『25 よく行くデートスポットは?』
「近所のドッグラン」
「愛する弟のデートの敷居が低すぎてお兄ちゃんびっくりだぜ……。まあ実際ドッグランと買い物以外あんまり外でかけないけどさー」

『26 相手の誕生日。どう演出する?』
「ヴェストの誕生日は俺様と同じ1/18ってことにしてるから、毎年一緒に祝ってるぜ!」
「当日と翌日に俺が休みをとって、朝からゆっくりすごして時々祝いにくる友人たち迎えて、夜はお互いの好物を夕飯にしてビール飲んで過ごす、という感じだ」
「ビールを"浴びるほど"飲んで過ごすから翌日も休みとってんだぜ。二日酔い必至だからな」

『27 告白はどちらから?』
「俺様から。セリフは秘密だぜ!」

『28 相手のことを、どれくらい好き?』
「どれくらい……感情を定量的に表せと?」
「いや、世界で一番好き!とかそういうやつじゃね」
「なるほど。ではそれで」
「雑! でも俺様もヴェストのことが宇宙で一番好きだぜ!!!」

『29 では、愛してる?』
「完全に前の質問の"好き"を"愛"と解釈していたんだが……Jaだ」
「同じく」

『30 言われると弱い相手の一言は?』
「兄さんに強い声音で命令されるとどうしても怯むな。現役を退いたと言ってもやはり生粋の軍国だとそういうときに思う」
「弱いってそういう意味じゃねえと思うけど……まあそういうニブいとこも好きだぜ。俺は、ヴェストに甘い声でbitteって言われると弱い。ぜってえ断れない」

『31 相手に浮気の疑惑が! どうする?』
「……兄さんは複数人を同時に愛するなんて器用なことは出来ないだろうからきっと遊びではなく心移りなんだろう。ならば静観して別れを切り出されるのを待つ、かな。俺から問い詰めるとかは怖くてきっとできない」
「なにか事情があるとか勘違いだとかってセンは考えねえのお前……」
「ああ、そういう可能性もあるのか。疑惑=証拠不十分だが確定、だと思っていた。こういうところで俺は変な誤解をするんだな」
「俺は直接カマかけるなり裏から手ぇ回すなりして調べ上げて、シロなら良し、クロなら実力行使だな」
「実力行使?」
「浮気なんてできねえようにヴェスト監禁したりとか、相手ブッ殺したりとか」
「さらっととんでもない闇を白状された……」

『32 浮気を許せる?』
「無理。ぜってー無理」
「二股なら俺にも相手にも不誠実だからやめろと言うが、心移りなら……まあ……兄さんがより幸せになる道を選んでほしい。こっちは100年以上ひきずると思うが」
「想像だけでしょんぼりすんじゃねえよ、もう! お前を不幸にしといて俺が幸せになれるわけねえだろうが!」

『33 相手がデートに1時間遅れた! どうする?』
「「心配だから連絡をとる」」
「だよな。どっちも時間守る方だし」
「……ん? ああ」
「おいおい、まだヤな想像から感情が戻ってきてねえのかよ……大丈夫か? 休憩すっか?」
「いや、大丈夫だ。うん」
「ならいいけどよぉ」

『34 相手の身体の一部で一番好きなのはどこ?』
「一番かぁー……おっきなおっぱい。癒される」
「俺に乳房はない、というのはいい加減言い飽きたからスルーしておこう。――好きなところ、というと瞳だな。普段から感情をよく映すところや光の加減で色味が変わるのが見ていて飽きない」

『35 相手の色っぽい仕種ってどんなの?』
「たまにしかやってくんねえけど、唇についたクリームとかソースを舌でぺろっと拭うやつ。あれ好き。ちらっとだけ真っ赤な舌が見えるのがなんかエロい」
「……湿った前髪を邪魔くさそうに無造作にかきあげる瞬間。――言っておくが、わざとやってるかどうかは見れば分かるぞ」
「ちぇっちぇー」

『36 二人でいてドキっとするのはどんな時?』
「ソファの隣に距離詰めて座られたとき。ヴェストからのアクションって感じするからか、何年経ってもちょっとどきっとするぜ」
「まどろんでいるときに優しく頭を撫でられるのが、好き、だな」

『37 相手に嘘をつける? 嘘はうまい?』
「どっちも嘘はヘタな方だと思うぜ」
「だからどうしてもというとき以外は、嘘より黙秘を選ぶ」

『38 何をしている時が一番幸せ?』
「ヴェストの体温感じながら寝てるとき」
「クーヘンを作っているとき」
「なんだこの片想い感!」
「正確にいうなら"兄さんが美味いって言ってくれるのを想像しながら"クーヘンを作っているとき」
「お!? おお……」

『39 ケンカをしたことがある?』
「軽い口論くらいなら、多少はな。殴り合いだと家が壊れかねねえから避ける」
「長引くような諍いはしない。ギスギスした気配を感じ取って犬たちが不安がるし、なによりあの長い別離を思い出してしまって俺が耐えられない」
「それはまあ、あるよなあ」

『40 どんなケンカをするの?』
「無駄遣いやめろとか、服をぬぎっぱなしにするなとか、犬たちに無理矢理服を着せるなとか」
「帰りが遅くなる時は早く連絡しろとか、ちゃんとベッドでおやすめとか、フランスの野郎からのセクハラは断固拒否しろガードがゆるいとか」

『41 どうやって仲直りするの?』
「一旦時間をおいてから顔を合わせると、まあお互いがあのときは言いすぎたなって顔してるのが分かるから、そのときに謝ってキスして仲直り、という流れだ」

『42 生まれ変わっても恋人になりたい?』
「俺らみたいなのに生まれ変わりがあるなら、勿論」
「ちょっと待ってくれ。生まれ変わるということは人間になるということか? その状態で恋人になるということは、最初は他人として生まれるということにならないだろうか」
「あー、そっか。ヴェストと出会ったときに他人なのはちょっとヤだな」
「だろう? 生まれたときに兄さんが傍にいない世界というのが想像つかない」
「んー、そう考えると、暫定Neinかも」
「恋人でいるよりも家族でいたい」

『43 「愛されているなぁ」と感じるのはどんな時?』
「俺が疲れているときに、そう口に出さなくても一番的確な甘やかし方で癒してくれるとき」
「俺がヴェスト構いたくてしょうがねえときに、素直に構われてくれるとき。そんでいー感じにリアクションしてくれるとき」
「利害が一致しているな」
「せめてwin-winっていってくれよ」

『44 「もしかして愛されていないんじゃ・・・」と感じるのはどんな時?』
「ヴェストが俺より犬たち優先してるとき」
「兄さんがいつのまにか4匹目の犬として参戦してるのが悪いんじゃないか……扱いを切り替えるタイミングをくれ。俺からは……あまりないな。兄さんから十分すぎるほど愛されていると感じている」

『45 貴方の愛の表現方法はどんなの?』
「たくさん褒めてたくさん癒して思う存分なでなでしてちゅーすることだな!」
「とにかく構いたがりの兄さんの手を素直に受け入れること……だが、俺の方から能動的に何かできたらとは思っている」
「別に今のままでも十分愛感じてるけど?」
「そうならいいんだが」

『46 もし死ぬなら相手より先がいい? 後がいい?』
「「先」」
「……」「……」
「何を思ってそう言ってるのか分かるからあえて言わないが、ここはどうしても意見が合わないな」
「だな」

『47 二人の間に隠し事はある?』
「あるがバレている気はする」
「あるけど昔の話だし今更言いたくねえ」

『48 貴方のコンプレックスは何?』
「これは劣等感という意味で解釈していいのか?」
「多分な。俺は、あー……実在する基盤をが既にないこと」
「俺は、与えられたものと期待の大きさに応えようとして二度も大きな失敗をしたこと」
「今更気にしてもしょーがねえことだけど気になっちゃうもんは気になっちゃうよな」

『49 二人の仲は周りの人に公認? 極秘?』
「直近の部下と国内の兄弟とプライベートでも付き合いがある国には概ね知られている」
「俺は世界中に喧伝したっていいと思ってるけどな」
「やめろ」

『50 二人の愛は永遠だと思う?』
「永遠なんてものの存在こそが疑わしいと俺は思っているが、生きている間は貫き通せればと思っている」
「こういうのは小難しいこと考えずに"俺たちの愛は永久に不滅だ"って言っとけばいいんだよ!」
「eternalが重複してる……」
「あえてだっつの!」






昔懐かし例のアレによく見るアレを足してみたブツ
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