上下上(+トウコ) ▽「どうしたのノボリ、溜め息なんかついて。トウコとのバトル楽しくなかった?」 ▲「いや、バトル自体は悪くなかったのですが、なんというかこう、ものっすごく絡まれました」 ▽「絡まれた?どういうこと?」 ▲「21両目に入って早々『BPいらないんで、私が勝ったらちょっと頼みごと聞いて下さい!』って言って、返答する前にバトルが始まりました。口上すら言えなくて不完全燃焼感が半端ないです」 ▽「何回も聞いてるからって省略しなくてもいいのにねえ?あれぼくらのスイッチみたいなもんなんだし。それで?」 ▲「スーパー用のメンバーを連れて来てたらしく負かされて、『ちょっとこれ持ってポーズとってください』とか『こう構えて!』とか指示されながら、やたらバシャバシャ写真撮られました」 ▽「ちょっと、なにそれずるい!ぼくもノボリの写真欲しい!――あっ、だからそんなに疲れてるの?ノボリ、写真嫌い」 ▲「カメラの前で無理に笑おうとすると魂がとられる気がするのですよ。一応お客様へのサービスかと思って耐えましたが」 ▽「ぼくときどきその職業意識?芸人魂?みたいなの尊敬する」 ▲「貴方嫌なことは嫌って言えますものねえ。羨ましいです。――それよりも、ここホームでの持ち物検査強化した方がいいですよ。トウコ様模造刀まで持ちこんでらっしゃいました」 ▽「あの装備の中のどこに仕舞いこんでたんだろ……。うん、まあ次の会議で提案してみようか」 ▲「それと、これトウコ様から貴方にだそうです」 ▽「なにこれ、マグカップ?何か描いてある」 ▲「ジャックフロスト、というキャラクターだそうです。白くてにこにこしてるのが貴方っぽいと」 ▽「ノボリのは?一瞬色違いシャンデラに見えたけど、違うね」 ▲「ジャックランタンですって。そちらのキャラクターと兄弟だそうですよ」 ▽「へええ!うん、気に入った!まだ近くにトウコいるかな?」 ▲「ジャッジさんと話すと仰っていたのでまだロータリーにいらっしゃるかもしれませんね。お礼を言いに?」 ▽「それもだけど、写真の焼き増し頼んでくるね!ぼくの『ノボリコレクション』にそんな素敵なの無いなんてたえらんないもん。じゃ、呼び出しあったらすぐ帰るから!」 ▲「ちょっ、やめなさいクダリ!あんなものこれ以上世に増やすんじゃありません!っていうかノボリコレクションってなんですか!待ちなさいクダリィィィィィ!!」 アトラス儲だったら一度はやっとけライドウネタ。 支部では武器マスなんてのが一部で流行ってますけど、ポケモン世界の人々って武器持たないですよね(cf.トバリの神話) |
上下(?) ▽「ハァイ!サブウェイマスターの天使に定評のある方、クダリだよ!みたいな紹介の仕方をしてみたい」 ▲「となると、わたくしは『どうも、サブウェイマスターの性的に定評のある方、ノボリです』ってやらなければならないのでしょうか」 ▽「ノボリに『どうも』って似合わないね」 ▲「わたくしも言ってて思いました。というか、あなた自分が天使なこと自分で言うようになったんですね」 ▽「なんかね、みんながそう言うならそうなのかな、って思えてきた。最近」 ▲「わたくしは昔から思っておりますが」 ▽「いつも思うの。ぼくたち双子。ぼくが天使ならノボリも天使のはず」 ▲「双子座の双子は兄が人間で弟が神の子ですよ」 ▽「だからノボリは人間なの?」 ▲「あっ、だったらわたくし人間より悪魔がいいです」 ▽「ベタだね」 ▲「やってみたかったんです。オレサマ オマエ マルカジリ」 ▽「なにそれなにそれ!ぼくもやりたい!」 ▲「でもあの世界、悪魔と言う名の天使居ますよね」 ▽「そうだね」 ▲「天使のような悪魔の笑顔?」 ▽「プリンシパリティとかメタトロンとかが一気にロックな感じに」 ▲「でも、天使と悪魔が微妙に繋がってるより明確に隔てられた方が、燃えますね」 ▽「そう?」 ▲「天命に阻まれる禁断の恋、燃えませんか」 ▽「背徳は蜜の味!だけどね、ノボリひとつ忘れてる」 ▲「なにをです?」 ▽「ぼくたち、男同士で兄弟で、しかも双子。禁断もいいとこ。ぼくたち、だいぶおかしい」 ▲「……!そうでした!」 ▽「物心ついたときからぼくたち、らぶらぶ。忘れてたでしょ」 ▲「ええ。罪の意識とかトんでました」 ▽「周りに迷惑かけてないし。責められるいわれ、無い」 ▲「ですね」 ▽「それでもたくさんの障害とか罪とか禁断とか、ほしい?」 ▲「うーむ……」 ▽「あったら今ごろこんなにらぶらぶしてないけd」 ▲「いりませんね!!」 ▽「ぼくもそう思う。ぼくたち人間でよかった」 ▲「そうですね!……あれ、何の話でしたっけ」 アトラス儲(ry ネタにしてるのは真Wなんで、サブタイ(仮)が『天使と悪魔と人間の物語(誇大広告)』でした。 |
上→下 目を覚ますとふわりと漂っきた香ばしい薫りにノボリは目を瞬かせる。かちゃかちゃと生活音がキッチンの方から聞こえるが、彼は今日は休みのはずだからまだ寝てるはずだ。 薫りに誘われるままに足を運べば、予想通り、クダリがエプロンをつけてキッチンに立っていた。気配を察して振り向き、輝くような笑顔を向ける。 「あっ、ノボリ、おはよ」 「……」 「……ノボリ?」 「はっ、ああ、おはようございます」 「どうしたの?」 「あなたが早起きしてるのが珍しくて、まだ夢の中に居るのかと」 「ひどい!ぼくだって休みの日でも早起きする!……5年に1回くらいは。ほら、もう少ししたらごはんできるよ。座って座って」 勧められるままにノボリは腰を下ろすと、目の前にことりとコーヒーが置かれた。 「角砂糖ひとつで良かったよね」 「え、ええ……」 コーヒーを啜ると一番好みの味が口に広がる。味も熱も確かにここにあるのに、ノボリはまだ夢の中に居る心地だった。 元々朝食を自分で作る分の時間を加味した起床時間だったために、その一仕事がなくなるだけで、朝なのに随分とぽっかりとした暇ができていた。簡単に言えば、調子が狂う、の一言に尽きる。 だが、決して嫌な時間ではなかった。むしろ。 「幸せって、こういうことなんですかね」 満たされた息を吐き出すように呟けば、驚いたクダリが勢いのまま振り返り、フライパンに手をぶつけた。 「あっつ!」 「だ、大丈夫ですか!」 「うん、大したことないよ。一瞬だったし」 火傷の具合は気になるものの、流水で冷やしているのと「大したことない」という言葉を信じてノボリはコーヒーを手に再び思索に耽った。 愛する人が朝食を作ってくれて、笑顔を見せてくれて、きっと出勤の時に見送ってくれる。円満な夫婦の『当たり前』な風景を幸せだと思える感性が自分にあったことに、ノボリは些か驚いていた。なにせ、物心ついたときから双子の弟を家族愛以上の感情で愛しているのがあまりにも『当たり前』でなかったので。 それと同時に「これからもこういう風に過ごせたら」と一瞬でも思ってしまった自分を叱責した。クダリだってノボリと同じように仕事にやりがいと誇りを持っている。それを奪うようなことは、仮定であってもするべきではないと思った。 二人とも一人暮らしをするには充分すぎるほどの稼ぎはある。ノボリがクダリを手放したくないためだけに今のルームシェアがあるのだ。現状で満足しなければいけない。彼がいつか愛する女性を見つけてここを離れることになっても、「あのときは満ち足りていた」と思えるように。 だからこの想いは自分だけのものとして、心の中に仕舞いこんでおく。 「できたよ!――ノボリ、大丈夫?さっきからぼーっとしてるけど……」 「あ、はい、大丈夫ですよ。それではいただきましょうか」 「うん、いただきます」 「ノボクダへのお題は『僕の気持ちは僕だけのもの・寝起きのコーヒー・ふたりぼっちな幸せ』です」ってお題ったーに言われたので。 お題ったーはネタ出しの補助をしてくれるので素敵だと思います。もっと前からあったらなぁ… |
エメクダ ※ 『リリカルディナー』 のちょっとあと 食事中 ※ 我が家の海外マスは英国出身 E「やっぱりさぁ、クダリから見てインゴってかっこいい?」 K「……なんで自分で自分の傷えぐるようなことするの」 E「うーん、かさぶたを剥がしたくなる気分に近いかな」 K「ふぅん。――そりゃあ、エメットに似てるんだから、当然かっこいいなぁと思うよ。スタイルいいし、クールだし、強いし。まあ、ちょっと……結構、怖いけど」 E「うう……」 K「あのねえ、『インゴの良いところいろんな人に知ってほしいけど、クダリがインゴになびいちゃうのヤダ』みたいな顔するくらいなら、最初っから訊かないでよ」 E「やっぱりクダリ、エスパーでしょ」 K「エスパーじゃなくてもわかるよ。顔に書いてあるもん。っていうか、浮気するかもって思われてるのいい気分じゃないんだけど、僕そんなに信用無い?」 E「そういうんじゃなくて、クダリの中で美化フィルター掛かってるみたいでボクはちょっと不安なんですぅ」 K「嫉妬とブラコン併発させると大変そうだね」 E「クダリはそういうことないの……って愚問か」 K「僕は兄さんの良いところ語れって言われたら誰が相手でも語り続けれる自信あるよ」 E「ウン、知ってる」 K「語ろうか?」 E「結構デス」 K「まあ、そのせいでエメットが兄さんに手ぇ出そうとするようなら神速で後頭部へ飛び蹴りしてからの逆エビ固めも辞さないつもりだけど」 E「Wow!アグレッシヴだね!それってノボリの貞操を守るためかクダリの嫉妬からか、って訊いていい?」 K「うーん、半々、かな」 E「思ってた以上に愛されてたみたいでちょっと嬉しい」 K「なんでエメットはそんなに自信がないっていうか、自己評価低いの。初めて会ったときの『ボクは世界の恋人さ!』的な自信満々オーラはどこやったんだい」 E「クダリに本気で惚れた瞬間にダストダスのおクチにポイしました」 K「彼、お腹壊してないといいね」 E「ね」 K「もう、ひとごとみたいに」 K「――ごちそうさま」 E「ごちそうさまー」 K「はい、おそまつさまでしたー」 E「……ここ居るとユノヴァ帰るの嫌になるよ」 K「ユノヴァ嫌い?」 E「嫌いじゃないよ!アフタヌーンティ美味しいよ!歴史いっぱいあるよ!でもごはんが……」 K「ああ……」 E「おいしくない……」 K「否定できないよ」 E「フィッシュアンドチップスですらイッシュの方が美味しいとか意味分かんないもん。下手なレストランよりクダリのごはんの方が美味しいもん。がっつり胃袋掴まれてる」 K「イッシュを第二の故郷にすればいいよ」 E「ボクの第二の故郷はずっと前からクダリの隣だよ」 K「……」 E「なに」 K「今のは、ちょっと、嬉しい」 E「本心だよ」 K「うん、ありがと」 エメクダのエメットくんはヘタレ度とジェラシー度が増し増しなイメージがあります。 |
エメクダ いつ聞いても心地いい声だな、と恋人が喋ってるのを聞きながらボクは思う。 もちろん女の子みたいな高さやけたたましさはないけど、爽やかですっと染み渡る声をしている。仕事で迷子の相手をしているときは穏やかな声音で「良いお兄さん」みたいな人当たりのいい雰囲気を容易に纏うし、楽しいことを話している今みたいなときは、仕事では見せない無邪気な笑顔と可愛く弾んだ声音のダブルパンチでボクの心臓ぶち抜いてくれる。それにベッドの上では濡れて上擦った声で名前を呼んでくれて……やめよう、少し空しくなった。 なんでボクが恋人と部屋でふたりっきり、しかもベッドの上で、にこやかにおしゃべりしているのに虚ろな目をしているかというと、心の中で数えてた「「兄さん」カウンター」が50を越えたからだ。 兄さん兄さんポケモン兄さんバトル兄さん兄さん仕事兄さん、そればっかり。それでもボクが怒ったり拗ねたりしないのは、やっぱりそんなクダリのことが大好きだからで、クダリからノボリをとったらボクの好きなクダリじゃなくなるだろうからだ。 最近どう?楽しいことあった?なんてありきたりな話を振ったボクが悪かったのかもしれないけど、クダリの世界は「兄さん」と「仕事(含むポケモン)」と「その他」でできてるんだなぁ、なんて。ボクの位置?もちろん「その他」でしょ。付き合う前から知ってたことを再確認してしまって少し悲しくなった。 今まで「仕事とあたし、どっちが大事なのよ!」なんて何度となく言われてきたけど、今なら彼女たちの気持ちが少し分かる。ごめんね、みんな。ボクはいつからこんなに思考回路が女々しくなってしまったんだろう、なんて思ったら、ボクの片割れが皮肉っぽい笑みで「お前が夢見がちなのが昔からでしょうが」と言っているのが頭に浮かんだ。分かってるよ脳内にまででしゃばってくんなクソ兄貴!ノボリに性的な意味で下克上されちまえ。 「エメット、聞いてる?」 「え、ああ、聞いてるよ」 思考をよそにとばしているとクダリが訝しげに覗き込んできた。正直あんまり聞いてはいなかったけど、ほぼ無意識に動いていた兄さんカウンターは70に到達しようとしていた。 「少し顔色悪いよ?疲れてるなら、ちょっと早いけど休もうか」 ボクを気遣ってくれるのがとんでもなくありがたく思えて、それでもボクはクダリの中で「その他」なんだろうなとか考えちゃって、泣き笑いみたいな変な顔になった。 「ほんと、エメットどうしたの?!悩みがあるなら聞くよ」 悩み、無い訳じゃないけど、クダリには言えないな。だって、ほら、幻滅されたくないじゃない。かっこつけしいなオトコゴコロってやつです。 そんな馬鹿みたいな葛藤を「言えるときになったら言うよ」 なんて言ってごまかすと、クダリが「そっか」と言って黙った。ボクの表情が伝染ったみたいに少し哀しげな顔をしてるのは何故だろう。 「んー、やっぱ今日疲れちゃったかも」 身体より、心が。 「じゃあ照明落とすね。おやすみ」 「Good night.」 横になって恋人を抱きしめれば、暗がりの中で微笑んでいるのが見えて、ささくれ立っていた心が少し癒された。 ボクをしきりに苛む棘のような嫉妬を「些細な」と言えるくらいには強くなりたいな、と思いながら目を閉じる。それはいつになるかわからないけど。 『3つめの大切なもの』の嫉妬対象がノボリになるとこうなります。 エメットくんは動かしやすくて、書き手的にはすごく好きです。 |